専用プラットフォームを採用、EVらしい美しさを表現
メルセデス・ベンツEQEは、メルセデスEQモデルとして初となる3ボックスタイプの ミドルサイズセダン。専用のプラットフォームを新たに開発、電気自動車ならではのパッケージの有用性を活かしたエクステリアデザイン、高効率なパワートレーンがもたらす環境性能、優れた実用性を兼ね備えたモデルとして注目される。
同時に発表された、よりラグジュアリーなEVサルーン「EQS」と比べると、ホイールベースが短いこともあり、操縦性や使い勝手などでは有利な部分もある。
エクステリアは、フロントにエンジンやトランスミッションを搭載する必要がないことから大胆なキャブフォワードデザインを実現、ロングホイールベースによりゆったりとしたキャビンスペースを確保するとともに、空力など機能性も高い、先進の美しさを表現したものになっている。
フロントフェイスのブラックパネルには超音波センサー、カメラ、レーダーセンサーなど運転支援システムのさまざまなデバイスが組み込まれているが、それらが表から見えることはなく、クリーンで独特の存在感を放っている。また、左右フェンダーまで回り込んだボンネットや空力と低騒音を考慮して格納式となったドアハンドルなど、シームレスなデザインもエクステリアの特徴となっている。
インテリアは先進的な電気自動車らしい、デジタルの要素を取り入れたデザインが特徴で、とくにAMG EQE 53 4MATIC+にオプション設定されるMBUXハイパースクリーンは、3枚の高精細パネル(コックピットディスプレイ、有機ELメディアディスプ レイ、有機ELフロントディスプレイ)とダッシュボード全体を1枚のガラスで覆うワイドスクリーンで構成される革新的なもの。ジェットエンジンのタービンを模した左右のエアアウトレットのデザインも絶妙なコントラストとなっている。
1モーターの「350+」と2モーターの「AMG 53 4MATIC+」を設定
日本仕様のラインナップは、EQE 350+とメルセデス AMG EQE 53 4MATIC+の2グレード。
EQE 350+ はリアアクスルに電動パワートレーン(eATS)を搭載するRWDで、最高出力 292ps(215kW)を発生。電気モーターに永久磁石同期モーター(PSM)が採用している。
一方、メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+はフロントとリアにeATSを備えるAWDで、最高出力 は625ps(460kW)を発生(RACE START 使用時は最大 687ps/505kW)。トルクシフト機能によってフロントとリアの電気モーター間で駆動トルクの連続可変配分を行い、最適な前後駆動力配分が行われる。
リチウムイオンバッテリーの容量は2グレードともに90.6kWhで、EQE 350+の航続距離は624km、メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+は526kmとなる。
充電は6.0kW(200V/30A)の交流普通充電と、150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応。急速充電の場合、50kWタイプなら10%から80%まで充電するのに105分、10%から30分間の充電で49%までチャージできる。
回生ブレーキを積極的かつ快適に行うべく、減速度を3段階(D+、D、D-)で設定できるほか、「コースティング」モード、前走車との車間距離や路状況などを考慮して最適な強度の回生ブレーキを行う「D Auto」モードも設定される。
サスペンションはフロントに4リンク式、リアにマルチリンク式を採用し、連続可変ダンピングシステム ADS+とエアサスペンションを組み合わせたAIRMATICを標準装備する。さらに小回り性能を良くするためリアアクスルステアリング(EQE 350+は最大10度、EQE 53 は最大3.6度)を採用、これはステアリング操作だけでなく、ブレーキやサスペンションなどの車両ダイナミクスコントロールに統合制御されている。
安全性の面でも、大きなエンジンがフロント部に搭載されないことから前面衝突で有利となるだけでなく、電動化により車両制御も緻密に行うことができることから、高度化された安全運転支援システム 「インテリジェントドライブ」が搭載される。
メルセデス・ベンツEQEの登場で、高級車のマーケットの電動化がどのような展開を見せるか注目される。
■メルセデス・ベンツEQE ラインアップ(車両価格税込)
EQE 350+(右) モーター1基(リア) 1248万円
メルセデス AMG EQE 53 4MATIC+(左/右)モーター2基 1922万円