ティグアンに4WDモデルの4モーションが追加設定
一方、最高で320psとさらに強靭な出力を発する2Lのターボ付きユニットを搭載し、やはりそれを4WDシャシと組み合わせたハイパフォーマンスバージョンの『R』をひと足早く設定して選択の間口を広げているのがティグアンだ。
実際、0→100km/h加速タイムが5秒を切るとその俊足ぶりが発表され、リアディファレンシャルには左右2組の多板クラッチを用いたトルクベクタリング機構を内蔵するなど、走りのレベルアップに妥協なく取り組んだこのモデルが、ベーシックなグレードとは一線を画した、何ともホットな走りのシーンを演じてくれることはすでに確認済み。
もっとも、前出のTロック同様の1.5Lターボ付き直噴ガソリンエンジン+7速DCTというパワーユニットを200kgほど重いボディに積む、今回試乗した『TSI Rライン』でもその動力性能には不足感はなく、同時にそのフットワークのテイストには重厚感も演じられ、しっかり兄貴分としての貫禄を感じさせられることになっていたのも印象的だった。
そのティグアンに2Lターボエンジンと4モーションシステムを組み合わせたフルタイム4WDのティグアンTSI 4モーションが新たに追加された。
3兄弟の末っ子モデル、Tクロスは取り回しに優れたSUV
逆に、全般に身の丈感の強いフォルクスワーゲン発のSUV群の中にあっても、全長×全幅サイズが4125×1785mmともっともコンパクトで、そんな小ささを積極的にセールスポイントとしてアピールする末っ子モデルがTクロス。
今回テストドライブを行った『TSI Rライン』グレードを含め、日本に導入されるモデルに搭載されるパワーパックは、1Lのターボ付き直噴3気筒エンジン+7速DCTという組み合わせに限られるが、恐らく多くの人が実感する走りの印象はまず、「そんなスペックから連想する以上に動力性能が強力」ということであるはず。
1500rpm付近からすでにしっかりしたトルク感が味わえ、街乗りシーンでは2500rpmも回せば十分。DCTもそんな心臓の性格に合わせたシフトプログラムで次々とアップシフトを繰り返してくれるので、結果として静粛性の高さも思った以上。当然取り回し性にも優れるので、どこにでも出かける気になれるのも輸入SUVとしては例外的と言える特徴だ。
星の数ほど存在するSUVの中にあっても、それぞれが売れるのも納得というのが、フォルクスワーゲンのSUV 3兄弟に触れての改めての印象なのである。(文:河村康彦/写真:井上雅行、伊藤嘉啓)
■フォルクスワーゲン Tロック TSI スタイル 主要諸元
●全長×全幅×全高:4250×1825×1590mm
●ホイールベース:2590mm
●車両重量:1320kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1497cc
●最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm
●最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:15.5km/L
●タイヤサイズ:215/55R17
●車両価格(税込):417万9000円
■フォルクスワーゲン Tクロス TSI スタイル 主要諸元
●全長×全幅×全高:4125×1785×1580mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:直3 DOHCターボ
●総排気量:999cc
●最高出力:85kW(116ps)/5000-5500rpm
●最大トルク:200Nm/2000-3500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・40L
●WLTCモード燃費:16.9km/L
●タイヤサイズ:215/45R18
●車両価格(税込):370万8000円
■フォルクスワーゲン ティグアン TSI Rライン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4520×1860×1675mm
●ホイールベース:2675mm
●車両重量:1520kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1497cc
●最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm
●最大トルク:250Nm/1500−3500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:14.3km/L
●タイヤサイズ:255/45R19
●車両価格(税込):540万6000円