丁寧に造られているという印象、静粛性の高さも印象的
さて、取材車はFFだった。その運転席に座り、エンジンスタートスイッチを押す。走り出してすぐに気がついたのは、アクセル操作に対するエンジンのレスポンスの良さだ。アクセルを踏めば、それにしっかりと応えてくれるのだ。
ハンドルはしっとりとした手応えで軽すぎないため、高速道路で速度が上がっても直進性が高く安心感が高い。足まわりもよくチューニングされており、道路の継ぎ目の上を通った時も、そのショックを上手にいなしてくれる。
また、スポーティセダンらしくパドルシフトを備えている。CVTではあるが、Dレンジからシフトノブを右に倒して、マニュアルモードであるMレンジを選択した場合はもちろん、Dレンジでもパドルを操作すれば「変速」することが可能。Dレンジの場合は、一定時間パドルでの操作を行わないと自動変速モードに戻る。
静粛性の高さも印象的だった。ドアのウエザーストリップを二重シールにしたり、リアフェンダー内側の吸音材に軽量不織布を採用することなどにより、室内への騒音の侵入が抑えられているという。このあたり、フラッグシップらしさを感じさせる部分でもある。
キザシはスズキ初のDセグメントカーということで、非常に丁寧に造られているという印象を受けた。受注生産ということもあり、発注から納車までおよそ2カ月かかるという。しかし、それを待つ価値はあると思う。(文:Motor Magazine編集部/写真:玉井 充)
スズキ キザシ FF仕様 主要諸元
●全長×全幅×全高:4650×1820×1480mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1490kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:2393cc
●最高出力:138kW(188ps)/6500rpm
●最大トルク:230Nm/4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●10・15モード燃費:12.6km/L
●車両価格:278万7750円(2009年当時)