クルマを購入する方法のひとつに「残価設定ローン」がありますが、ネットでは「やめたほうがいい」という意見も目立ちます。
残価設定ローンは、車両本体代から「残価」を差し引いた部分だけで返済額が計算されるので、一見お得に感じますが、比較的金利が高く設定されていたり、契約満了時までは残価を下回らないようにする必要があったりなど、向き不向きがあります。
また、残価設定ローンと似ている「カーリース」と何が違うのか、気になっている人もいるでしょう。
ここでは、残価設定ローンの概要と、メリットやデメリット、そしてカーリースとの違いについてお伝えします。
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残価設定ローンとは?
まずは残価設定ローンとはどんなものなのか、そしてどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
残価設定ローンの仕組み
残価設定ローンとは、クルマに「残価」を設定し、その残価分を車両本体代金から差し引いて計算するローンのことです。残価とは、この場合はローン完済時点で残っているクルマの価値のことです。
通常のカーローンであれば、車両本体代金全額に対して返済をしなければなりませんが、残価設定を適用することで、利用年数に応じた合理的な返済にするのが狙いです。
例えば、100万円のクルマを5年計画の残価設定ローンで購入するとしましょう。この時、残価が30万円と設定されれば、本来の車両本体代から残価を引き算をした70万円の部分のみを借り入れる仕組みです。
残価設定ローンのメリット
では、この残価設定ローンにはどんなメリットがあるのかというと、短い期間だけクルマに乗る予定、または短い期間で乗り換える予定である場合、合理的な金額のローンを組みやすいことです。
例えば3年後には乗り換える予定の場合、通常であれば乗り換えまでの期間は関係なく、車両本体代全額でローンを組むことになります。乗り潰す予定ならまだしも、かなり短い期間しか使わない予定の場合は、感じる負担は大きいと言えるでしょう。
しかし、残価設定ローンなら返済年数に応じて残価が設定されます。返済年数は短いほど残価は高く設定されるのが通常ですので、こうした意味では合理性がある支払い方法です。
「残価設定ローンはデメリットしかない」と言われる理由
ここまで残価設定ローンの仕組みやメリットについてお伝えしましたが、ネットでは「デメリットしかない」という意見も散見されます。
残価設定ローンに限らず、サービスを選ぶ際は、そのサービスが自分が持つニーズに合っているかどうか、そしてデメリットを許容できるかどうか、ということが大切ですので、ここからはデメリットについて掘り下げてみましょう。
- 通常のカーローンより金利が高い
- 残価を下回らないようクルマを扱う必要がある
- 他のメーカーへの乗り替えが難しい
- リセールバリューが高くても返金がない
1.金利が高い
残価設定ローンは、ディーラーローンや銀行のマイカーローンと比べると金利が高い傾向があります。
そして、残価設定ローンでは、据え置いた残価に対しても金利がかかることも要注意です。
例えば、残価設定ローンで300万円のクルマを購入するとします。このとき残価が100万円であれば、200万円の部分のみを借り入れることになります。
しかし、金利は本来の車両本体代金である300万円に対して発生するので、金利負担を大きいと感じやすいデメリットがあります。
2.残価を下回らないようクルマを扱う必要がある
残価設定ローンを組んだ後は、その残価を下回らないようクルマを扱わなければなりません。これに派生して、さまざまな使用上の制約が生まれるのも事実です。
そして、事故による破損等で等で残価を下回ってしまった場合は、追加精算が必要になることも必ず頭に入れておきましょう。
A.走行距離制限
クルマの価値は、年式と走行距離が大きく影響することから、使用方法で価値を維持できる走行距離に制限がかけられます。
走行距離制限は、ローン各社で独自に決められていますが、おおむね国内の平均走行距離を基準とした、ひと月当り1000km~1500kmに設定していることが多いです。
仮に走行距離制限を超えてしまうと、クルマの価値が維持できない可能性があるため、超過分を精算しなければなりません。長期休暇で遠出をしたり、普段から長距離走行が多くなる方は、余計な出費が増えることからデメリットと言われています。
B.カスタム制限
残価設定ローンは購入時のまま乗り続ける必要があり、カスタムは禁止となっています。これも、クルマの価値を下げないための措置です。
とはいえ、クルマの純正パーツが消耗した場合は、純正同等品に交換することは可能です。また、原状回復ができるカスタムであれば問題ないなど、条件付きでカスタムを認めている場合もあります。例えば、アルミホイールのようにクルマに損傷を与えないパーツなら認められることも多いでしょう。
ただし、穴を開けたり削るなど、クルマに加工を要するパーツ取り付けは不可なので、カスタム好きには向かないプランです。
3.他のメーカーへの乗り替えが難しい
残価設定ローンで購入したクルマは、原則としてクルマを購入した店舗に返却して同じ店舗で次に乗るクルマを選びます。仮に、違うメーカーのクルマに乗り替えたい場合は、残価を一括清算して買取しなければなりません。
一般的なマイカーローンであれば、ローンを完済してもしなくても、自由にクルマの売買が可能です。残価設定ローンでは、残債が残っている場合や契約満了後に清算金があると、それらをすべて清算しない限りは他のメーカーのクルマに乗り替えられません。
メーカーにこだわりがない方であれば残価設定ローンでも良いですが、多くの自動車メーカーから好きなクルマを選びたい方は、気軽に乗り替えられないことからデメリットと感じるでしょう。
4.リセールバリューが高くても返金がない
クルマは、中古車市場での人気度で価格が常に変動しているので、契約時の残価が契約満了後に上回ることもあります。しかし、どんなに当初の残価設定を超えるリセールバリューの高さであっても、返金されることはありません。
残価設定は、未来のクルマの価値を予想して決めています。クルマの価値は需要と供給で決まるので、そのときの人気度がクルマの価値を左右します。つまり、未来に価値が上がると予想されれば高く残価を設定しますが、その逆では残価が安くなります。ある意味、ユーザーも一つの賭けで契約しなければなりません。
残価設定ローンは、リセールバリューに影響されないシステムなので、リセールバリューが高くなるクルマを残価設定ローンで購入すると損してしまいます。
残価設定ローンとカーリースは何が違う?
残価設定ローンと似た仕組みを守るサービスが、「カーリース」です。こちらも残価設定をし、月々定額でクルマを利用するサービスなので、両者は極めて似ていると言えるでしょう。
ただし、細部を見ると異なる点があるので、残価設定ローン以外に「カーリース」という選択肢も考えもいいかもしれません。
では具体的に何が違うのかというと、残価設定ローンはあくまで「ローン」なのに対し、カーリースはれっきとした「サービス」である点です。
1.料金構成の違い
残価設定ローンも毎月コンスタントに支払いを行うサービスですが、これはあくまで返済です。
一方のカーリースは、支払っているのは「利用料」です。月額基本料の中には様々なサービスが含まれています。
具体的には、個人向けリースのほとんどは、車検、税金、自賠責、メンテナンス費用がコミコミとなっていることが多いです。
これらはクルマを維持するには最低限かかるランニングコストをカバーしたものであり、残価設定ローンの場合は自分でこれらの支払いを行う必要があります。
2.サポート内容の違い
そして、カーリースはクルマの維持管理に関わる手続きはサポートに任せられるというメリットもあります。具体的には、税金の支払い、そして任意保険をリース料に含めている場合は任意保険の更新手続きなどです。
他にも、車検の時期が近づくと整備工場を案内してもらえたりと、ユーザーが安心してクルマに乗り続けられるよう、様々なサポートが展開されています。
まとめ
残価設定ローンは、毎月の支払額が抑えられますが、利用方法を吟味しなければ金利負担が大きくなるだけで、実際の支払額は多くなるでしょう。
このほか、クルマの利用方法に様々な制限が設けられているので、生活スタイルに合わない場合も出てきます。
とはいえ、短期で新車への乗り替えを検討する方なら、残価設定することでお得に乗り替えができるので、全ての方に残価設定ローンがデメリットになるとは言えません。
残価設定には、ローンだけでなくカーリースもあるので、様々なリスクを考え自分に向いているサービスを利用すると良いでしょう。