「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、シトロエン DS5だ。

ハイブリッドもエンジン車もシトロエンらしさを具現化

まず試乗したディーゼルハイブリッドは、リアにニッケル水素バッテリー駆動のインホイールモーターを搭載する4WDだ。発進はEV状態だが、アクセルペダルを少し踏み込むとエンジンがかかり、離すとまたEVに戻る。プリウスのように滑っていく感覚はなく、接地感がしっかりある。

画像: 写真は日本仕様に搭載予定の1.6L ガソリンターボエンジン。最高出力は155ps、最大トルクは240Nmを発生。

写真は日本仕様に搭載予定の1.6L ガソリンターボエンジン。最高出力は155ps、最大トルクは240Nmを発生。

日本導入予定のガソリンエンジン155ps版ではハイブリッド並みの静かさに驚き、低回転からトルクフルで扱いやすいターボ特性が爽快だった。FFながらリアの追従感覚はボディの一体感を高めるもので、ハンドリングにもかったるさはない。高速はもちろん、渋滞や山道の上り下りでもまったくストレスがなく、むしろ積極的に回したくなるパワーユニットだった。

200ps版ではさらに伸びやかな余裕があり、高速クルージングがゆったりと快適だ。また乗り心地が良く、すっぽりと収まる感覚で座る後席は、とてもくつろげる。いずれのパワーユニットも秀逸だったが、日本仕様は1.6Lターボになるらしい。ディーゼルハイブリッドも導入して欲しいところだが。

とはいえ、メカニズムのアプローチは違っても、DS5は確かにシトロエン流プレミアムを具現したモデルとなっていた。このプレミアム感は、他社では真似のできないものに違いない。

画像: 飛行機のコクピットを意識したというインパネ。センターコンソールで前席は完全にセパレートされている。

飛行機のコクピットを意識したというインパネ。センターコンソールで前席は完全にセパレートされている。

シトロエン DS5 シック(日本仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4535×1870×1510mm
●ホイールベース:2725mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1598cc
●最高出力:115kW(155ps)/6000rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1400-3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤサイズ:225/50R17
●当時の車両価格(税込):400万円

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