幕張地区を中心に脱炭素を取り組む千葉市
── 千葉市は脱炭素社会の実現、カーボンニュートラルの取り組みに積極的な自治体として知られています。脱炭素先行地域に指定されているそうですが、これはどういうものですか。
神谷市長 “脱炭素先行地域”は環境省が定める制度で、2030年度までにカーボンニュートラルを実現するためのモデルとなる地域のことです。これに指定されると支援や補助が行われ、2030年度までに脱炭素を完了することになります。千葉市では幕張地区を中心に脱炭素を取り組む計画を立てています。
── これまでの取り組みが評価されたということですか。
神谷市長 これまでの取り組みも前提としてありますが、それよりも今後どういう活動をしていくかが重要です。自治体だけでなく、事業者、住民が一体となって取り組んでいく活動になります。たとえば、市では事業者と連携契約を結んで、電気自動車を災害時に非常電源として提供していただく取り組みも進めています。現在85台の電気自動車が登録していただいています。
── 千葉市のEVサポーター制度とはどういうものですか。
神谷市長 今年(2022年)から始めた制度ですが、これは一般市民の方に協力いただいて、電気自動車をいざという災害発生時に非常用電源として提供していただくというものです。これに賛同いただいた方には購入時に市から補助金を提供させていただき、電気自動車の普及と電気自動車を使ったインフラ整備を進めています。まだ始まったばかりで10台ほどしか登録はありませんが、多くの問い合わせをいただいています。
── 再生可能エネルギーも積極的に取り込んでいるということですか。
神谷市長 コンビニエンスストアをはじめとした商業施設に太陽光パネルと蓄電池を設置して、日常的にそれを利用するのですが、災害時に非常用電源として使うという取り組みです。千葉市は令和元年(2019年)に台風被害により広域で停電しましたが、こうした取り組みをとおして、災害に強い街づくりを進めています
自治体、国、事業者が連携して充電インフラ整備を推進
── 電気自動車は充電しないと走りません。充電インフラについてはいかがですか。独自に整備する計画はあるのですか。
神谷市長 充電インフラが整備されないと電気自動車は普及しないと考えていますし、台数が増えた後の対応では間に合わないと思います。千葉市としても積極的に整備を進めており、そうした動きをリードしてトレンドを作るのは市の役目だと思って頑張っていますが、自治体がすべてできるわけではなく、国や事業者がそれぞれの役割を果たすことで、電気自動車の社会を作りあげられるのではないでしょうか。千葉市は集合住宅に住まわれている方が全体の3割を占めていますが、集合住宅にどのようにして充電設備を設置していくかも重要な課題となっています。補助金制度を整備していますが、まだまだ電気自動車は少数で、設置に踏み切れない集合住宅がほとんどです。
── 千葉市では社会実証実験も行われているようですが。
神谷市長 幕張地区は国家戦略特区の指定を受けて、規制が例外的に外されて、さまざまな実証実験が行われわています。自動運転やエリア内を自由に移動できるモビリティの実証実験も実施しています。
── 住民の足を確保するのも自治体の仕事ということですね。千葉市はまさに未来がいち早く見られる街ですね。
神谷市長 この幕張地区はもともと「未来をいち早く感じられる街」をコンセプトに作られたエリアです。今回のイベント“EV&SDGsフェア”にぴったりの街ですね。カーボンニュートラルは国や自治体だけでは実現できませんし、自動車メーカーや事業者だけでも進められませんし、なにより市民の協力が必要です。それらを繋いでいただける、こうしたイベントは重要です。
── 続けて行くことが大切だと実感しています。今日はありがとうございました。