いま日本国内で購入できるBEV(電気自動車)の中から、もっとも魅力的なクルマを決める「BEVオブ・ザ・イヤー 2022」を開催。本誌お馴染みの執筆陣+編集長が採点。No.1を決定した。(Motor Magazine 2023年1月号より)※()内は選考委員各位の投票順位です。

BEV化で軽自動車の魅力を引き上げたサクラ

モーターマガジン誌が選ぶ「BEVオブ・ザ・イヤー2022」の第1位に輝いたのは、日産サクラ。4人の筆者から1位に選ばれ満遍なく高得点を獲得して他車を引き離した。それでは各氏のコメントを紹介したい。

画像: 価格面や使い勝手を考慮すれば「これが日本向けBEVの現状最適解」── 河村康彦さん

価格面や使い勝手を考慮すれば「これが日本向けBEVの現状最適解」── 河村康彦さん

大谷達也さん(1位):EVかどうかという以上に、日本で走らせるコンパクトカーとして魅力的という意味で位に選んだ。乗り心地、静粛性、低速域での力強い加速感などは、従来の軽自動車では得られなかった価値観を感じさせる。価格も含めて魅力的だ。

河村康彦さん(1位):価格面や使い勝手を考慮すれば「これが日本向けBEVの現状最適解」というのが第1位に選考した理由。航続距離を延長のため大容量バッテリーを搭載という「力技」で臨んだモデルは、大出力充電器のインフラ整備が絶望的に進んでいないこの国では恐ろしく使い勝手が悪い。それとは逆に、このモデル程度のバッテリー容量ならば毎晩の普通充電ですぐに復活してくれるもの。ただし、それゆえ自宅に充電器を備えられることが絶対条件だ。

佐藤久実さん(1位):エンジンをモーターに変えると、軽自動車がこんなにも快適な「乗り物」になるんだという驚きと再認識があった。音、振動の大きい気筒エンジンがモーターになるとストレスフリーに。そして、軽自動車のパッケージとバッテリー搭載による低重心化のバランスも相性が良く、安定性やハンドリングにも優れる。BEVの最大のストレスである充電や航続距離も、軽としての「割り切り」により短時間の充電で日常のクルマ生活をこなせる。

**価格で勝負・・・だけじゃない。軽BEVの大いなる価値とは

渡辺敏史さん(1位):ミニマルな移動手段として軽便なクルマが欠かせない一方で、地方ほどガソリンスタンドが少ないという現在の生活事情を考えると、軽のBEV化は価格次第で合理的なデマンドが確実にある。そこに日本でBEV普及の先陣を切った日産&三菱が斬り込んだ社会的意義は大きい。個人的にはサクラとeKIクロスEVは同列に讃えたいと思います。この先は性能そのままに装備等を簡便化し、補助金依存からの脱却を進めてもらいたいところです。

画像: トレッドが狭くて背高でも、バッテリーを床下に積むBEVなら走行性能は高まる── 岡本幸一郎さん

トレッドが狭くて背高でも、バッテリーを床下に積むBEVなら走行性能は高まる── 岡本幸一郎さん

こもだきよしさん(3位):軽BEVというカテゴリーはこれから増えてくるはずだ、とサクラに乗ると確信する。それは都会でも田舎でも、日本中で使えるクルマだからだ。電気モーターによる低回転からの大トルクでスイスイと気持ちよく走る様子は、軽自動車の常識を覆す。ガソリンスタンドが減った田舎では入れに隣町まで行かなくてはならない現状では、自宅で充電できる軽BEVは便利なクルマだ。

石井昌道さん(5位):BEVの環境性能がもっとも生きるのは街中など低速域。そこに特化したシティコミューターは理想的で、軽自動車BEVはまさにそういったモデルだ。バッテリー容量が少ないが軽量なので電費でも有利になる。

岡本幸一郎さん(5位):私が上位に挙げた車種とはぜんぜん毛色が違うものの、高く評価している。トレッドが狭くて背高でも、バッテリーを床下に積むBEVなら走行性能は高まる。航続距離が短くても用途がはっきりしていればちゃんとユーザーの共感も得られることを証明した点も大いに意義がある。いろいろな意味で軽自動車とBEVというものの相性の良さに気づかせてくれた。BEVとしての付加価値を表現するためわざわざ専用に仕立てた内外装もなかなか好印象だ。

This article is a sponsored article by
''.