スーパーカーといえば「ミッドシップの2シーター、エンジンはDOHCでV8以上。ただし、ほかに惹き付ける魅力があれば例外もあり・・・」というのがざっくりとしたイメージだろうか。1970年代半ばに大ブームが起きてから50年近くの歳月が流れ、そのイメージは少しずつ変わってきているようにも見える。本連載では1966年から現代までスーパーカーを並べていくので、変遷していくさまをお楽しみいただければと思う。【第12回はフェラーリ 512BBを紹介しよう。】

365から512へ。外観の変更は少ないが中身は進化

フェラーリ 512BB(1976-1981年)

画像: フロントスポイラーの形状などが違うが、パッと見では365GT/4 BBと見分けがつきにくい。

フロントスポイラーの形状などが違うが、パッと見では365GT/4 BBと見分けがつきにくい。

365GT/4 BBの後継モデルとして、1976年のパリ モーターショーで発表されたのが「512BB」だ。それまでの伝統だった「1気筒あたりの排気量による車名表記」をやめて、「総排気量と気筒数による表記」を初めて採用し、周囲を驚かせた。すなわち、512とは「5Lの12気筒」を意味している。エンジンは365GT/4 BB同様、180度のV12 DOHCだが排気量を4943ccにアップし、縦置きミッドシップ搭載。

9.2の圧縮比と4基のウエーバー製トリプルチョーク 40IF3C キャブレターを装着し、最高出力は360psを発生した。この数値は先代の365GT/4 BBより20psダウンしたものだったが、最大トルクは2kgmアップした46.0kgmとなり、最高速度は302km/hと公称している。しかしこれは多分にランボルギーニ カウンタックを意識した数字で(カウンタックの最高速度は公称300km/h)、完調でも300km/hを超えるのは難しいといわれている。

画像: リアは2連円形レンズおよびツインエキゾーストパイプに変更された。エンジンフードのルーバー配置も異なる。

リアは2連円形レンズおよびツインエキゾーストパイプに変更された。エンジンフードのルーバー配置も異なる。

ボディデザインはピニンファリーナによる365GT/4 BBの延長線上にあるため見分けにくいが、一体式フロントスポイラーやリアホイールアーチ前方に設けられたエキゾーストシステム冷却用のNACAダクトが識別点になる。

365GT/4 BBより排気量をアップしてトルク重視としたおかげで格段に滑らかな加速感を獲得し、大成功を収めた512BBはスーパーカーブームを代表する1台となり、929台が生産されている。

フェラーリ 512BBi(1981-1984年)

画像: 512BBまでは2トーンのカラーリングが多かったが、512BBiでは単色塗装のモデルが中心となった。

512BBまでは2トーンのカラーリングが多かったが、512BBiでは単色塗装のモデルが中心となった。

年々厳しさを増す北米の排出ガス規制をクリアするため、フェラーリはパワーユニットの燃料供給装置の見直しを図る。フラッグシップの512BBでは、ウエーバー製のキャブレターを諦めてボッシュのKジェトロニック(機械式燃料噴射装置)を採用。車名も512BBi(iはインジェクションを表す)となった。

デビューは1981年のフランクフルト モーターショー。512BBよりも最高出力は20psダウンし、レブリミットも200rpm低いためインパクトに欠けた。それでも始動性が良いなど扱いやすくなったため、1984年までに1007台が生産された。その後、次世代となる世界戦略車テスタロッサに後継を託した。

フェラーリ 512BB 主要諸元

●全長×全幅×全高:4400×1830×1120mm
●ホイールベース:2500mm
●重量:1400kg(乾燥重量)
●エンジン種類:180度V12 DOHC
●排気量:4943cc
●最高出力:360ps/6800rpm
●最大トルク:46.0kgm/4600rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前215/70VR15、後225/70VR15

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