「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、バリエーションを拡大した日産 エルグランドだ。

日産 エルグランド(2011年:特別仕様車 & カスタムモデル追加)

まずは、「ハイパフォーマンス スペック(以下、HPC)」。しかも同時にライダーシリーズに追加されたブラックラインだ。

画像: リアで特に目立つのが標準装着される専用の大型スポイラー。オーテック扱いのオプションとして用意されている。

リアで特に目立つのが標準装着される専用の大型スポイラー。オーテック扱いのオプションとして用意されている。

特別塗装色のファントムブラックのボディに、専用のダーククロム仕様のフロントグリルやフォグランプ組み込みバンパーグリル、ダーククロムヘッドランプフィニッシャーなどが与えられた黒ずくめのルックスが、ちょっとワルそうな雰囲気を漂わせる。

ほどよく締め上げられた足まわりは、専用のミシュラン19インチタイヤを履いていても乗り心地が硬すぎることもなく、州便でフラットな乗り心地を提供してくれる。ハイパフォーマンスダンパーなどで剛性を上げたボディは、重心の高いミニバンであることを忘れさせるかのようなフットワークで、高速コーナリングも安定している。

排気系をファインチューンした専用エンジンは、いかにも抜けの良さそうなフィーリングで、トップエンドまで突き抜けるように吹け上がる。そのエンジン性能をより味わえるようにCVTの制御も見直されており、レスポンス遅れもなく、CVTとは思えないほどダイレクト感のある走りを実現している。

こうしたHPSの走りは、誰が乗っても体感できるはず。ブラックでまとめられたルックスも決まっているし、まさにミニバンの頂点を極めたモデルといっても良さそうだ。

クロムパーツをまとったお買い得な特別仕様車

画像: グリルとフォグランプフィニッシャーに専用職を採用しているのが、アーバンクロムのフロントまわりの特徴だ。

グリルとフォグランプフィニッシャーに専用職を採用しているのが、アーバンクロムのフロントまわりの特徴だ。

限定販売ではなく特別仕様車という位置づけで発売された「アーバンクロム」。ハイウェイスターをベースに、ダーククローム色のフロントグリル & フォグランプフィニッシャー、専用グラファイトフィニッシュ18インチ アルミホイールを装備するほか、フロントプロテクター、クリアタイプのリアコンビランプ & LEDハイマウントストップランプなどの特別装備をまとっている。

それでいながら、車両価格はベースとなったハイウェイスターに対し、250で20万円高、350で13万円高というから買い得感も高い。また今回、350に標準装備の運転席側ワンタッチオートスライドドアが250にも標準装備された。さらに、リモコンオートバックドアが250にもオプション設定されたほか、アクティブAFSヘッドランプも全車標準装備となった。

今回試乗したのは250。たしかに加速感はVQ35DEを搭載する350にはおよばないものの、250のQR25DEも170psを発生するから、市街地や高速道路を普通に走るぶんには十分以上の動力性能を発揮する。それに、もともとミニバン離れしたフットワークが自慢のエルグランドだけに、250でも走りに大きな不満はない。

今回の改良では、サスペンションなど走りに関する部分の変更はないが、久しぶりにエルグランドに乗ってみて、あらためてその基本性能の良さを実感させられた。

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