シンプルかつ流麗なボディに息づくDNA
ポルシェの創業者フェルディナンド・ポルシェが、同社初のスポーツモデルとして世に送り出されたのが「356」。1948年1月8日のことだった。それから75年目を迎えた2023年1月、ポルシェは「356」を新たな解釈でデザインしたスタディモデル「ヴィジョン357」の公開を行った。
「356」に敬意を表して生まれた「ヴィジョン357」だが、そのデザインの底流には当然のごとく「356」のDNAが色濃く反映されている。それは、凝縮感のあるフォルムや独特の傾斜のボディライン、幅の広さを感じさせるショルダーの造形、Aピラーを鋭く包み込む形状のフロントガラスなどが雄弁に物語っている。
そして、グレイ基調のボディカラーに75周年のロゴがゼッケンのように配される。グレイのボディカラーは、1950年代の「356」ではポピュラーだったそうだ。
パワートレーンは718 ケイマンGT RS譲りの500ps仕様
足元には20インチのマグネシュームホイールが履かされ、パワートレーンは、500psを有する718ケイマンGT RSのものが移植される。ちなみに、ドライバーと助手席の外側上部に配されたインテークも、718ケイマンGT RS由来のものだ。「ヴィジョン357」は、生粋のスポーツカーなのだ。
ボディ素材は、2021年に公開された電動コンセプトモデル「ミッションR」と同様に繊維強化プラスティックが使われる。SDG'sを念頭に置いてのことはいうまでもない。継ぎ目なく組み合わされたフロントからサイド、リアのエアロパーツは75年前では想像もできない素材から作られているのだ。想像もつかないということでは、サイドミラーが鏡ではなくカメラによる最新式のものとされている。
「ヴィジョン357」は、過去、現在、そして未来が高次元で融合しているのだ。