2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す浜松市
アウディジャパンは、持続可能な社会の実現の重要性について、一人ひとりが考えるきっかけの場を作ってきた。サステイナブルに取り組む地域や施設を訪問し、日本における再生可能エネルギーのポテンシャルに触れ、持続可能な社会の実現の重要性に関して考える場を提供している。今回の「アウディ サステイナブル フューチャー ミーティング」も、その一環だ。
クワトロ4WD、ディーゼル、そしてEV(電気自動車)と、クルマ技術の進歩を重ねてきたアウディは、「サステイナブルな社会にどう貢献できるか。しかしモビリティに対する考え方は変えない」という方針から、「選択肢はEVしかない。そして、再生エネルギーを利用しなければEVを普及させてもカーボンニュートラル化は実現しない」という結論を導き出した。
ただEVを販売するのではなく、そのEVを販売する拠点もカーボンニュートラル化し、そこに設置された充電器でEVに供給する電力も再生可能エネルギーでまかなう。そんなショールーム&サービスセンターが、今回のイベントが開催されたアウディ浜松だ。
2005年(平成17年)に政令指定都市となった浜松市は、日本で2番目に大きい市域がある。また、1世帯あたりの自動車保有率は、政令指定都市では第1位だという。しかも、浜松市は晴天率が高く日照時間は日本でトップクラスの都市。太陽光発電には最適の都市なのだ。
さらに浜松市では森林を利用したバイオマス発電、水力発電、風力発電、生ゴミの廃棄物発電など、地域と共生した再生可能エネルギーを導入し、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指している。
官民が一体となってカーボンニュートラルを目指す
アウディ浜松を経営するサーラカーズでは、同社の属するサーラグループのエネルギー会社であるサーラエナジーと協力して、建屋の屋上に400枚のソーラーパネルを設置。年間で17万3000kWhの電力を発電できる。そのうち、7万1000kWhは自家消費し、余剰の10万2000kWhは売電する。不足の電力はサーラエナジーのCO2フリー電気で補い、また都市ガスはカーボンニュートラルなものを年間2万8000立方メートル使用する。
つまり、店内で使用する電気やガスのみならず、店舗に設置している90kWの急速充電器が出力する電力も再生可能エネルギーでまかなわれている。電気やガスのCO2排出量実質ゼロを達成した、国内カーディーラー初となるカーボンニュートラルなショールーム&サービスセンターなのだ。
サーラカーズでは、このアウディ浜松を皮切りに、2023年4月には浜松整備工場を、そして2023年年央には、VW浜松&浜松西もカーボンニュートラル化を目指している。
2023年の年頭記者会見で発表したように、アウディは2025年に内燃エンジンを搭載した最後のニューモデルを生産、2026年からは新たに発表するモデルはすべて電気自動車とし、そして2033年には内燃エンジンの生産を停止する(中国を除く)。
このロードマップを実現し、アウディ浜松のようなカーボンニュートラルな店舗を増やしていくことで、クルマづくりだけでなくクルマを取り巻く環境もカーボンニュートラル化していく。だがそのためには、やはり民間だけでなく浜松市のような自治体の協力を得ていくことも、重要なファクターになっていくのではないだろうか。