アルファロメオSUVモデルステルヴィオの弟分となるトナーレがついに日本上陸を果たした。アルファ初の電動化モデルで、よりコンパクトなミドルサイズのSUVだ。さっそく、走りを確かめるべく、ステルヴィオとともにロングツーリングに繰り出した。(Motor Magazine 2023年4月号より)

歴史と伝統を感じるエクステリアデザイン

このブランドらしいダイナミックでスポーティなエクステリアのデザインに心躍らされるトナーレだが、そうしたワクワク感はドアを開き、キャビンへと乗り込んでからも継続することになる。

画像: トナーレ エディツィオーネ スペチアーレ。新開発1.5L直4ターボに48Vのモーターを搭載する。15~20km/h前後までの低速はモーターで走行する。

トナーレ エディツィオーネ スペチアーレ。新開発1.5L直4ターボに48Vのモーターを搭載する。15~20km/h前後までの低速はモーターで走行する。

ダッシュボードまわりでは大型のディスプレイばかりが主役のように扱われるモデルも少なくない昨今だが、このモデルではドライバー前面にレイアウトされるのはかの「双眼鏡型」のメータークラスター。

実はその表示部分は12.3インチのカラーディスプレイで、オーソドックスな指針式のメーターはもとより最新モデルらしくさまざまな情報の表示を行うことも可能だが、それでもアルファロメオらしい歴史と伝統を感じさせられる造形が、このブランドには不可欠な熱い走りのイメージを彷彿とさせてくれることに、流行に踊らされない安心感を抱く人も少なくなさそう。斬新さやモダンな印象ばかりを追わないこうしたデザインも、アルファロメオらしさを演じるひとつの側面と言える。

今回テストドライブを行ったトナーレは、日本導入を記念して設定された『エディツィオーネ スペチアーレ』グレード。ボディやパワートレーンは同一でありながらよりベーシックなグレードとして設定された『Ti』に対しては、装着するタイヤが19インチに対して20インチであったり、パドルシフトやシート/ステアリングヒーターが装備されている。

とはいえADASの機能に差はなく、ナビゲーションシステムを含めたコネクティビティの機能も同一。また、23年2月には「スポーツ性能と上質感を高めた新グレード」として『ヴェローチェ』が新設定されている。 

まずはモーター出力によって走り始める一方で、アクセルペダルを踏み込むと比較的容易にエンジンが始動。その先、アクセル操作に伴う加速力コントロールの場面では、わずかにリニアリティに欠ける印象を受けることも皆無ではないものの、絶対的な加速力が十分に高いことは間違いない。

隣合うギア同士のレシオが接近した7速DCTを大型固定式のパドルでマニュアル操作できる点も、個人的には高いポイントを与えたい部分。ハンドル操作によってその位置が移動し、操舵角次第で左右が反転してしまうこともある回転式のパドルに対し、こちらは常にアップ/シフトのコマンドを確実に入力できるからだ。

SUVらしからぬアップテンポな走りを彩るのは、目立ったロールも感じさせずに右に左にと次々迫るタイトなコーナーをリズミカルにクリアして行く、軽快なコーナリングの感覚にもある。あのダイナミックでスポーティなルックスのボディを、こうして自身がテンポ良く走らせている姿を想像すると自然と頬が綻んでしまうというのは、アルファ乗りが密かに共通して抱く快感かも知れない。

余裕の高速クルージングを実現するステルヴィオ

そんなアルファロメオ車らしく軽快で身軽なテイストが印象に残るトナーレに比べると、改めて兄貴分らしい貫禄と落ち着きを感じさせてくれたのがステルヴィオの走りだった。

画像: ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4 Ti。試乗車は最高出力210ps、最大トルク470Nmを発生する2.2L 直4ターボディーゼルエンジンを搭載する。

ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4 Ti。試乗車は最高出力210ps、最大トルク470Nmを発生する2.2L 直4ターボディーゼルエンジンを搭載する。

今回乗ったステルヴィオは、2.2Lのターボ付き直列4気筒ディーゼルエンジンが生み出した最高210ps/最大470Nmという最高出力と最大トルクを、8速ATと4WDシステムを介して路面へと伝えるシャシを備えた『Q4 Ti』のグレード。

前出スペックも示すように最新ディーゼルエンジンが発するトルクの大きさはトナーレのそれを遥かに凌ぎ、とくにエンジンは2000rpmを下回る低回転でゆるゆると回っているに過ぎないのに200kg近くも重い重量をものともしない高速クルージングシーンでの余裕に満ちた走りは圧巻そのもの。軽快なトナーレの身のこなしには強い魅力を覚えつつも、「長い距離を長時間走って行くならば、絶対こちらを選びたいナ」と思える走りを堪能させてくれたのがステルヴィオであった。

こうして、単にサイズの違いのみならず、走りのテイストでもキャラクターの違いが巧みに演じられているのがトナーレとステルヴィオというアルファロメオのSUV兄弟。電動化モデル第一弾としてローンチされたトナーレに対し、これからそのテーマに取り組んで行くことになるのがステルヴィオだ。

これまでこのブランドが取り組んでいなかった事柄が新しい乗り味を提供してくれるだろうと期待と想像を逞しくすると、一体この先アルファロメオはどのような未知の世界を示してくれることになるのか、まだまだワクワク感が止まりそうにもない。(文:河村康彦/写真:伊藤嘉啓)

アルファロメオ トナーレ エディツィオーネ スペチアーレ主要諸元

●全長×全幅×全高:4530×1835×1600mm
●ホイールベース:2635mm
●車両重量:1630kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1468cc
●最高出力:117kW(160ps)/5750rpm
●最大トルク:240Nm/1700rpm
●モーター最高出力:15kW(20ps)/6000rpm
●モーター最大トルク:55Nm/2000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●WLTCモード燃費:16.7km/L
●タイヤサイズ:235/40R20
●車両価格(税込):578万円

アルファロメオ ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4 Ti主要諸元

●全長×全幅×全高:4690×1905×1680mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:1820kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1468cc
●最高出力:154kW(210ps)/3500rpm
●最大トルク:470Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・64L
●WLTCモード燃費:16.0km/L
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):703万円

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