2023年4月9日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦が静岡県の富士スピードウェイで開催され、野尻智紀（TEAM MUGEN）が今季初優勝を挙げた。坪井翔（P.MU/CERUMO･INGING）が2位、3位には山下健太（KONDO RACING）が入り、共に今季初表彰台を獲得した。
チャンピオンの意地をみせた野尻智紀が開幕戦に続き連続ポールポジション獲得
2位に0.3秒をつけるタイムでポールポジションを獲得した野尻。
ダブルヘッダーとして富士スピードウェイで行われる開幕戦＆第2戦。前日に行われた開幕戦の予選では、テスト時間不足に配慮して45分のタイムアタックに変更されたが、第2戦の予選ではレギュレーション通りノックアウト方式で行われた。
その予選で速さを見せたのは、ディフェンディングチャンピオンの野尻だった。野尻はQ1のAグループをトップで通過すると、ポールポジションが決定するQ2では2位以下に0.3秒差をつける1分21秒196をマークし、開幕戦に続き2戦連続でポールポジションを獲得した。
2番手はまたしてもあと一歩ポールポジションに届かなかった宮田、3位には大湯都史樹（TGM Grand Prix）が食い込み、開幕戦ウィナーのローソンは4位で予選を終えた。
前日の悔しさを予選にぶつけた野尻だが、すでにその目は決勝を見据えていた。
2023年 スーパーフォーミュラ 第2戦 予選結果（Q2）
1. 野尻智紀（TEAM MUGEN）1:21.196
2. 宮田莉朋（VANTELIN TEAM TOM’S）1:21.570
3. 大湯都史樹（TGM Grand Prix）1:21.590
4. リアム・ローソン（TEAM MUGEN）1:21.645
5. 坪井翔（P.MU/CERUMO･INGING）1:21.731
6. 山下健太（KONDO RACING）1:21.792
7. 平川亮（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）1:21.814
8. 阪口晴南（P.MU／CERUMO･INGING）1:22.028
9. 山本尚貴（TCS NAKAJIMA RACING）1:22.380
10. 福住仁嶺（ThreeBond Racing）1:22.441
11. 小林可夢偉（Kids com Team KCMG）1:22.519
12. 牧野任祐（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）1:32.044
野尻智紀が今季初優勝でランキング首位に浮上
決勝レースは快晴で気温13℃、路面温度32℃というこれ以上ないコンディションの中で行われた。
グリッド上で集中力を高めていくポールポジションの野尻。
スタートでは開幕戦同様、今回もエンジンストールするマシンが見受けられた。ラウル・ハイマン（B-Max Racing Team）がストールし、佐藤蓮（TCS NAKAJIMA RACING）もスタートに失敗、大きくポジションを落としている。
一方、3番手スタートの大湯が好スタートを決めて、コカ・コーラコーナーで野尻をパスしトップに浮上する。
開幕戦に引き続きスタードダッシュを決めた大湯が、ポールの野尻に襲いかかる。
野尻を従えトップを走る大湯。しかしこの後SC導入となり状況は一変してしまう。
ところが、8周目に太田格之進（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）との接触の影響でジュリアーノ・アレジ（VANTELIN TEAM TOM’S）が1コーナーでストップ。これでSC（セーフティカー）が出動してレースが動き出す。
太田と接触したアレジ。開幕戦に続き1コーナーでリタイアとなってしまった。
SC先導走行は10周目にピットウインドウがオープンした後も続き、ロスタイムを減らそうと各車が一斉にピットインする。ここで先頭でピットに入った大湯だったが、作業が終了してピットレーンに戻ろうとした際、後続のマシンが通過するのを待たなければならず、このロスが響いて野尻に先行を許してしまう。
ピットストップで暫定首位に立った野尻。ピットの配置が逆転の後押しになったが、これも前年にチャンピオンを獲った権利の一つでもある。
唯一ピットに入らなかった平川亮（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）を先頭に、レースは13周目にリスタート。再開直後の1コーナーで、大湯がポジションを取り返すべく野尻にアタックしたが、ブレーキングをミスしタイヤを痛めてしまい、優勝争いから脱落することになる。
2位の坪井に対し、マージンを保ちながら暫定トップを走る野尻。
開幕戦では接触され悔しいリタイアを喫した坪井。開幕戦ウィナーのローソンを押さえ込み2位を堅守。
最終盤は2位集団に追いつかれた野尻だが、レース中盤に稼いだマージンが活きた。
レースは、実質首位の野尻を先頭に、坪井、山下、宮田が続く。ローソンはライバルたちの動きを冷静に観察しながら首位をうかがっていたが、ここでまさかの5秒タイムペナルティを受けて脱落。10周目にピットインする際、先行するチームメイトの野尻とダブルストップすることになったローソンは、やや間隔を拡げピットロードに進入。これが必要以上に車間を空けすぎたと見なされ、ペナルティが科されたのだ。
残り2周となりようやくタイヤ交換のためにピットに入った平川は、タイヤが確実にハマっておらずスローダウン、コース脇にマシンを停めてしまった。
これで名実ともにトップに立った野尻は、2位集団を従えてそのままチェッカーを受けた。2位には開幕戦で無念のリタイアを喫した坪井が入り、3番手でフィニッシュしたローソンはタイムペナルティにより5位。4位でフィニッシュした山下が3位表彰台を獲得した。（写真：井上雅行）
ポールトゥウィンを達成し、ポイントリーダーに返り咲いた野尻。
2023年 スーパーフォーミュラ第2戦 決勝結果（上位10名）
TEAM MUGENが開幕戦に続き連勝。今年も追いかけられる立場となったが、ライバル勢の巻き返しはあるのだろうか？
1. 野尻智紀（TEAM MUGEN）41周
2. 坪井翔（P.MU/CERUMO･INGING） +1.643
3. 山下健太（KONDO RACING） +3.103
4. 宮田莉朋（VANTELIN TEAM TOM’S） +3.693
5. リアム・ローソン（TEAM MUGEN） +6.926
6. 小林可夢偉（Kids com Team KCMG） +9.175
7. 福住仁嶺（ThreeBond Racing） +15.386
8. 牧野任祐（DOCOMO TEAM DANDELION RACING） +20.089
9. 佐藤蓮（TCS NAKAJIMA RACING） +20.236
10. 阪口晴南（P.MU／CERUMO･INGING） +22.154
2023年 スーパーフォーミュラ ドライバーズランキング（第2戦終了時点）
1. 野尻智紀（TEAM MUGEN） 41
2. リアム・ローソン（TEAM MUGEN）27
3. 宮田莉朋（VANTELIN TEAM TOM’S） 18
4. 坪井翔（P.MU/CERUMO･INGING） 15
5. 山下健太（KONDO RACING） 11
6. 平川亮（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL） 11
7. 山本尚貴（TCS NAKAJIMA RACING） 8
8. 佐藤蓮（TCS NAKAJIMA RACING） 7
9. 小林可夢偉（Kids com Team KCMG） 5
10. 大湯都史樹（TGM Grand Prix） 5
2023年 スーパーフォーミュラ チームランキング（第2戦終了時点）
1. TEAM MUGEN 61
2. P.MU/CERUMO･INGING 16
3. TCS NAKAJIMA RACING 15
4. VANTELIN TEAM TOM’S 14
5. KONDO RACING 12
6. ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 11
7. TGM Grand Prix 7
8. Team KCMG 5
9.ThreeBond Racing 4
10.DOCOMO TEAM DANDELION RACING 3
11.docomo business ROOKIE 2
