2009年12月に日本導入が発表されたキャデラックCTSのワゴンバージョン「CTSスポーツワゴン」が2010年2月に上陸した。アメリカ国内でドイツ車を迎撃すべく開発されたCTSは、世界基準であったドイツ車的価値観を持ちながらも、キャデラックならではの味わいも備えていた。Motor Magazine誌では上陸間もなく試乗テストを行っている。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年5月号より)

EクラスやA6、5シリーズのライバルになりうる存在

試乗したのは、HDDナビやBOSE5.1chサラウンドシステムなどが標準となり、充実した装備を持つ3.0ラグジュアリー。日本ではこれがCTSの主力グレードとなる。

室内はアナログの時計やクロームのパネルなど、斬新さと懐古調が絶妙なバランスで調和し独自の上質感を演出している。全グレード標準で装備される本革シートは、イタリア車のように張りのあるもので、肌触りも良くそれでいて適度なフィット感もある。

ポップアップ式の8インチタッチスクリーンを備えるHDDナビはロジックが明快で操作性も非常に良い。これは音声入力も可能だ。

スターターを回してエンジンを始動。目覚める際に低いエンジン音を演出するが、走り出すとその静粛性の高さは特筆すべきもの。直噴の3L V6エンジン+6速ATの組み合わせは特別スポーティな印象はないものの、50:50の重量配分からくるバランスの良さや、FRならではの取り回しの良さを伝えてくる。

ニュルブルクリンクで鍛え上げたと謳うサスペンションは、乗り味は街乗りや首都高速を走る限り、確かに同セグメントのドイツ車に似た締まった印象もある。だが、小さな段差乗り越えなどでは、アメリカ車特有の大らかさややさしさも感じられ、そのバランスがとても心地よい。ドメスティックなものから世界戦略を担うブランドに転換してなお、軸足はぶれずに個性を主張するそのスタンスが、CTSスポーツワゴンのドライビングの楽しさに繋がっている。

3L、3.6Lエンジンともにレギュラーガソリン仕様というところも、このご時世ちょっと嬉しいところだ。ちなみに10・15モード燃費は、3Lモデルで8.4km/Lとなる。

それにしても・・・と思う。装備内容で見てもライバル車と比較してリーズナブルで、さらにこれだけ走りの質も室内質感も高く、乗り味の個性も外観アピール度もあり、総合的な商品力がなかなか高いにもかかわらず、正直認知度はまだ低い。メルセデス・ベンツEクラスやアウディA6、新型BMW 5シリーズなどの購入を考えているならば、ぜひ思い出してもらいたいのがキャデラックCTSという名前。まずは一度、試乗をお勧めする1台だ。

この秋には、スタイリッシュなCTSクーペも上陸する予定だ。CTSファミリーの相乗効果で、今後さらなる知名度向上を狙いたいところ。(文:Motor Magazine編集部 /写真:永元秀和)

画像: 上質感溢れる室内。HDDナビはスタンダード以外標準装備。

上質感溢れる室内。HDDナビはスタンダード以外標準装備。

キャデラック CTS スポーツワゴン 3.0ラグジュアリー 主要諸元

●全長×全幅×全高:4870×1850×1470mm
●ホイールベース:2880mm
●車両重量:1870kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2997cc
●最高出力:201kW(273ps)/7000rpm
●最大トルク:302Nm(30.8kgm)/5700rpm 
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:544万円(2010年当時)

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