フィアット製エンジン搭載だからこそ重要な充電環境
道幅の狭い日本の道路環境に適合するコンパクトさ、そして愛嬌あるフロントフェイスとスクエアスタイルのボディデザインなど、様々な要素により若年層や女性からの支持を獲得している。このプラグインハイブリッドSUVは、ガソリンエンジン車より350kgの重量増となっているが、これが良い方向に働いているのだ。
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フロントに搭載されたエンジンとISG、リアモーターを組み合わせることで四輪を駆動するレネゲードのPHEV「4xe」は、満充電でのEV走行可能距離がWLTCモードで50kmとスペックシートに表記されている。では実際の道路環境ではどうか、ほぼモーターのみで駆動する「ELECTRIC」モードを選択して走行してみると、街中においては43kmほど、高速道路では40kmと、想定していた以上の距離をEV走行できることがわかった。
自宅に普通充電器を設置していれば、買い物や子どもの送り迎えなど普段づかいと充電を繰り返している限り、ガソリンを消費することはほとんどないはずである。
ではなぜ、今月の長期レポート車の燃費は17.5km/Lなのか。理由は単純。普段はEV走行距離を超える100km近くを走り、しかも編集部のガレージ&充電器は予約制のため毎日使える状況ではないからだ。
充電環境が整ってさえいれば「いくらでも」・・・は言い過ぎだが、かなり省燃費な数値を示すのではないだろうか。フィアット製のエンジンを搭載しているゆえ、使用燃料はプレミアムガソリン。ランニングコストを気にするなら、なおのこと充電環境の重要性は高まるというものだ。
運転したあとは毎回充電。だからこそ充実させたい設備
搭載される駆動用バッテリーの容量は11.4kWh。充電残量が0%を指していても200V・3kW出力の普通充電器に接続すればわずか3時間ほどで満充電になる。この手軽さは大きなメリットだ。それでも、もし自宅駐車場に普通充電器を新設するなら、ジープ販売店で設置申し込みできる、より高出力な200V・6kW普通充電器をおすすめしたい。
近年、PHEVは燃費性能向上のためバッテリー容量が大きくなる傾向にあり、これに伴って充電に必要な時間も伸びている。モデルによっては満充電まで6時間以上かかることもあるのだが、6kW普通充電器なら充電時間をおよそ半分に短縮できる。
しかも普通充電ソケットの形状はどのモデルも基本的に共通なので、クルマを買い換えたとしても充電器は次のクルマに引き継げる。編集部の3kW充電器をメインで使ってBEVの長期レポートをしてきた私は、PHEVであっても充電時間が短ければ精神的にも楽だと結論づけたわけだ。
ちなみに、燃費性能に優れる反面で燃料タンク容量はガソリンエンジン車の48Lより小さく、36Lに設定されている。満タン&充電残量ゼロでの航続可能距離は500kmに届かず、やや短めな印象だ。これほどの長距離移動をする機会は少ないが、そんな時は給油ポイントをチェックしておいたほうが良さそうだ。