「打倒メルセデス・ベンツ」、「ポルシェ911を従えてアウトバーンの追い越し車線を走る」、「初めてシルキーシックスを積んだ」、「BMWアイコン初採用」。今回はそんなBMW2800シリーズに魅せられ、夢を与えてくれた男の物語である。(Motor Magazine 2023年7月号より)

4シーターオープンカーの次はシューティングブレーク

そして今回、西海岸で試乗したのが4シーターコンバーチブルモデル「カリフォルニア」である。このプロジェクトはチョーケさんが長年にわたって企画してきたもので完ぺきを目指すために多くの時間が費やされた。というのは存在しなかったモデルを4ドアサルーンから作り出さねばならなかったからである。

画像: 素晴らしい完成度の「カリフォルニア」だが、問題点は収納するスペースはなくソフトトップを装着することができなかったことだ。

素晴らしい完成度の「カリフォルニア」だが、問題点は収納するスペースはなくソフトトップを装着することができなかったことだ。

それは単にボディ剛性の確保といった簡単な問題ではなかった。彼の頭には「もしE3がカブリオレとして誕生していたらどうなっていたのか?」という当時の地平線の向こうにあった「プロジェクト﹂を再現したかったのである。

完成した4シーターオープンカー「カリフォルニア」は西海岸を3日間にわたるドライブでもほぼ完ぺきであった。唯一の問題点はスタイルとスペースの問題でソフトトップを持たないことだった。

しかし彼のプロジェクトはまだ終わっていない。現在は、E3ベースの「シューティングブレーク」が進行中なのである。しかもそれには彼の活動に共鳴したBMW本社もかかわっている。70年当時のデザイナーダイレクターであったポール・ブラック氏がデザインを担当することになったのである。

このE3シューティングブレークは24年には完成する予定で、チョーケさんはこのモデルで地平線の向こうにあった可能性を再現することで、現代人に再び夢を与えようとしているのだ。(文:木村好宏/写真:キムラオフィス)

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