ランボルギーニ初のスーパーSUV「ウルス」がさらなる進化を続けている。最高出力666psを発生するウルスSとハイパフォーマンスモデルのウルス ペルフォルマンテ。今回はその2台の超高性能SUVの進化を掘り下げてみたい。(Motor Magazine2023年7月号より)

よりチューンナップされたパワートレーンとシャシ

スーパーカーといえばまず注目すべきはエンジンスペックだろう。すでに最高出力650psを誇っていたグループ最強の4L V8ツインターボユニットはさらなるチューニングにより666psへとパワーアップし、両グレードに搭載。ペルフォルマンテの場合は軽量化も手伝って、スーパーSUV界屈指のパワーウェイトレシオ、3.2kg/psを獲得した(アストンマーティンDBX707にはわずかに劣るが)。

画像: ウルスSと同じ、最高出力666ps、最大トルク850Nmを発生する4L V8エンジンをフロントに搭載する。(ウルス ペルフォルマンテ)

ウルスSと同じ、最高出力666ps、最大トルク850Nmを発生する4L V8エンジンをフロントに搭載する。(ウルス ペルフォルマンテ)

さらにペルフォルマンテに限っていえば、エアロダイナミクスの向上やトレッド増、新サスペンションシステム(固定スプリングと電子制御ダンパーにより車高20mmダウン)と専用ピレリPゼロタイヤの装着などによって、スタンダードモデルを大幅に上回る総合パフォーマンスを手に入れた。

ドライブモードのタンブロは、Sがこれまでどおり7種類のドライブモードを擁するのに対して、コンフォート、スポルト、コルサ、ラリーの4種類を設定した。ともに組み合わされるトランスミッションは従来と同様に8速ATだ。

後期型デビューに先立って行われたパイクスピーク(全長およそ20km、平均勾配7%のヒルクライムコース)でのテストでは、市販SUV部門で最速となる10分32秒064を記録したことも記憶に新しい。ベントレー ベンテイガが18年に記録した10分49秒902を大幅に上回るタイムを叩き出したのだ。ちなみに0→100km/h加速は実にスーパーカー級の3.3秒。最高速は306km/hだという。

前述したようにウルス ペルフォルマンテは空力性能を大幅に引き上げた。つまりスタイリング上でもその変化は明らかというわけだ。冷却と空力を考慮した新たなフロントマスクはもちろん、トレッド増に伴ってオーバーフェンダーも広がっている。ペルフォルマンテロゴの入ったサイドステップやリアには新デザインのバンパー&ディフューザーが備わるほか、アヴェンタドールSVJからデザインモチーフを得たリアウイングまで装備されている。

エアアウトレットがひと際目立つ新ボンネットフードを含めこれらの新たな要素はすべてカーボンファイバー製。部分的にカーボン素材を露出することも可能である(オーダーできるかどうかは別として)。またルーフパネルもオプションでカーボンとすることができる。リアエンドパイプはアクラポビッチ製だ。

オンロードパフォーマンスをいっそう重視したウルスペルフォルマンテ。そのデビューは激化する一方のスーパーSUV界において先駆者の存在を改めてアピールするものになりそうだ。

オールマイティなスパルタンなペルフォルマンテ

事実、試乗してみればスーパーSUV界の王者たる風格に満ちていた。とはいえランボルギーニ好きにとって知りたいことは、ペルフォルマンテとSとのドライブフィールの違いだろう。結論から言うとSは従来モデルをさらに洗練したモデルだった。モード次第では扱いやすいラグジュアリーGTとなって、街中から長距離ドライブまで、オールマイティーにこなしてみせる。

画像: 一般道からサーキットまでマルチにこなすスーパーSUV。(左:ウルス ペルフォルマンテ、右:ウルスS)

一般道からサーキットまでマルチにこなすスーパーSUV。(左:ウルス ペルフォルマンテ、右:ウルスS)

対するペルフォルマンテの乗り味はSより断然にスパルタンだ。前アシはかなりニンブルでよく動く(感覚がある)。フロントセクションがSよりひと回りもふた回りも小さく感じられるほどだ。とくに一般道でのラリーモード使用が面白い。コルサやスポルトに比べて乗り心地が良く、それでいて足さばきが俊敏。ラフロードを走ってみたくなる。

両グレードとも加速性能そのものは前期モデルとさほど違わないと思う。最大トルクは以前と同じ850Nmで、最高出力が上がったと言ってもわずかに16psアップしただけ。車重2トンを超えるスーパーSUVにとって、ほとんどそれは誤差だろう。

人気モデルだけあって全体としての完成度は17年当時よりかなり上がった。とくに街乗りでのライドクオリティは確実に向上している。車体全体の動きもまた随分と滑らかになっていた。

毎日乗れるランボルギーニ。それがウルスの魅力。そう考えると前輪が忙しく動くペルフォルマンテよりSの方が当然乗りやすく実用性は高い。とくに良かったのが高速道路での長距離クルージングで、無敵のグランツーリスモだった。ドライバーをしっかりと包み込み、道路と車体が心地よく一体となったかのような安定感を魅せる。

踏めばその加速は相変わらずスーパーカー級だ。恐怖感を覚えるほど、とてもスリリング。とはいえそんなことは一度か二度試せば十分というもので、普段は快適安楽なGTとして使った方が身のためというものだろう。冒頭のコレクター氏のように。(文:西川 淳/写真:佐藤正巳、永元秀和)

ランボルギーニ ウルス ペルフォルマンテ主要諸元

●全長×全幅×全高:5137×2026×1618mm
●ホイールベース:3006mm
●車両重量:2150kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:490kW(666ps)/6000rpm
●最大トルク:850Nm/2250-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WDR
●燃料・タンク容量:プレミアム ・85L
●WLTCモード燃費:7.1km/L
●タイヤサイズ:前285/40ZR22、後325/35ZR22
●車両価格(税込):3499万8463円

ランボルギーニ ウルスS主要諸元

●全長×全幅×全高:5137×2026×1638mm
●ホイールベース:3003mm
●車両重量:2197kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:490kW(666ps)/6000rpm
●最大トルク:850Nm/2250-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WDR
●燃料・タンク容量:プレミアム ・85L
●WLTCモード燃費:7.1km/L
●タイヤサイズ:前285/40ZR21、後315/40ZR21
●車両価格(税込):3137万2881円

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