すべてが一新されたトヨタブランドの最高峰ミニバン「アルファード/ヴェルファイア」が目指すのは、「快適な移動の幸せ」。初の公道試乗では、そのショーファー力とドライバビリティのグレードアップぶりを実感することができた。進化の秘訣は、磨き抜かれた「強靭な身体」にあり。見えるところ、見えないところも含めてまずは、日常から感じられる優しさを演出してくれるこだわりの細部について、見ていこう。

極められた「ショーファーとしての才能」にちょっとだけ緊張する

8年ぶりにフルモデルチェンジした新型アルファード/ヴェルファイア(以下、便宜的にアルヴェルに短縮)は、開発のメインテーマとして「快適な移動の幸せ」を謳っている。誰のための幸せか?と問われれば、トヨタいわく「乗る人すべてが相手を思いやり感謝し合える空間を実現するため」だという。

画像: アルファード エグゼクティブラウンジ。2.5Lハイブリッドを搭載、WLTC総合燃費は2WDでリッター17.5km/Lを達成している。

アルファード エグゼクティブラウンジ。2.5Lハイブリッドを搭載、WLTC総合燃費は2WDでリッター17.5km/Lを達成している。

もちろん、ショーファーカーとしての才能に文句をつけることはできない。日本での利用に最適化しながらギリギリ最大化されたボディサイズ(全長4995×全幅1850mm)といい、3列すべてが快適に過ごせるゆとりの空間といい、プライベートでもビジネスでも満ち足りた時間を演出する充実の装備といい、まさに至れり尽くせり。

従来比で40mmも拡張されたスライドドア開口部(820mm)は、乗り込む瞬間からおもてなし力を実感させてくれる。トヨタ車としては初めて、右リアにも設定されたユニバーサルステップのステップ高220mmも、高すぎず低すぎずのちょうどいいポジション。ちなみに1360mmという最大室内高は、もっとも心地よい開放感を狙った数値だという。

新型アルヴェルの導入当初のラインナップは、2列目キャプテンシートを備えた7人乗り仕様のみ。試乗した最上級仕様「Executive Lounge:エグゼクティブラウンジ」の2列目シートは、その中でも豪華な設えが与えられている。

画像: エグゼクティブラウンジシート。アームレスト部には回転格納テーブル、脱着可能でスマホのような使いやすさを追求したリアマルチオペレーションパネルを設定する。前後方向には480mmのパワーロングスライド機構を備える。乗員の有無によってスライド速度を変化させる機構がつくが、スライドの動作にはやや慣れが必要になるように思えた。

エグゼクティブラウンジシート。アームレスト部には回転格納テーブル、脱着可能でスマホのような使いやすさを追求したリアマルチオペレーションパネルを設定する。前後方向には480mmのパワーロングスライド機構を備える。乗員の有無によってスライド速度を変化させる機構がつくが、スライドの動作にはやや慣れが必要になるように思えた。

個別に設定された脱着式のマルチオペレーションパネルなど、見るからに「できる」雰囲気がひしひしと伝わってくるデザイン、2種類のクッション素材を最適に組あわせて座っている姿勢の安定感を高めるとともに、サスペンションやボディからの共振を身体に伝えにくくする「見えない部分」での工夫も施されている。

その質感の高さにちょっとばかり気おされながら実際に座ってみると、「肌感」としての優しさをすぐに実感することができた。ただ広いだけでなく、きわめて洗練された機能性を視覚的にも理解することができる。

オットマンも出して背もたれをフルに倒すと、雰囲気はちょっとした国際線のビジネスクラス。乗ったことはないけど、もしかするとファーストクラスにも匹敵するのか??いや、実は、これぞまさしくプライベートジェットのレベルか???

そういった飛行機的上級キャビンを彷彿させる要素となっているのが、天井中央に機能装備や収納スペースを集約した、スーパーロングオーバーヘッドコンソールだろう。

画像: 2列目左右のパッセンジャーが共有するスペースとして、天井部に操作系や収納を集約しているスーパーロングオーバーヘッドコンソール。前方のスイッチ類では、スライドドア/サイドサンシェード/ルーフサンシェード/ドアガラスなどを操作可能。リビングモード照明のドームランプやカラーイルミネーションの操作もここで行える。前後2カ所の格納式ボックスは、ソフトパックのティッシュケースを収納できる。

2列目左右のパッセンジャーが共有するスペースとして、天井部に操作系や収納を集約しているスーパーロングオーバーヘッドコンソール。前方のスイッチ類では、スライドドア/サイドサンシェード/ルーフサンシェード/ドアガラスなどを操作可能。リビングモード照明のドームランプやカラーイルミネーションの操作もここで行える。前後2カ所の格納式ボックスは、ソフトパックのティッシュケースを収納できる。

開発者によれば、ここは単なる実用性だけではない、大型ミニバンだけがもたらすことのできる豊かな空間性、世界観を象徴する部分なのだという。収納ボックスが2列目用と3列目用。それぞれに独立して用意されているあたりにも「すべての乗員」のことを考えた、妥協のない思いが感じられた。

心地よさを実感させるために重要なもうひとつの要素が、ノイズ対策だ。ただしここでも、単に「静寂に満ちた空間」を目指してはいない。発生する周波数を分析することで、つぶすべき不快な音と残すべき心地よい音を区別して対処している。

たとえば前車の代表選手は、タイヤから発生するロードノイズ、風切音など。それぞれに男性の声、女性の声の周波数に分けて、会話の妨げにならないように遮音を調整している。不快なノイズについては、車室内への侵入経路を徹底的にチェック、スモークの流れで「穴」を確認し、ひとつひとつを丁寧に塞ぐ対策を施しているという。

画像: さりげなく最上級グレードであることをアピール。

さりげなく最上級グレードであることをアピール。

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