4世代目のゴルフに追加された、最初の「R」と言えるゴルフ R32が日本へ導入されてから20年。これを記念した特別仕様モデル「ゴルフR 20イヤーズ」が導入された。専用チューンのエンジンや大型スポイラーなど走りに特化したスペシャルなRの走りを試した。文:岡本幸一郎(Motor Magazine2023年9月号より)

刺激的なスポーツモードに過激なレースモード

エキゾーストシステムの交換により、アイドリングの音からして野太く猛々しい。そのサウンドから期待するとおり加速はかなり力強い。0→100km/h加速でノーマルモデルよりさらに0.1秒速い4.6秒をマークしているというのだから、これに不満を覚えるわけがない。

スポーツモードは「刺激的」という印象で、公道でもその性能を楽しむにも適しているのだが、レースモードを選択すると「過激」に豹変するあたりも「R」を名乗るモデルらしい。眼前のメーターパネルの表示も派手な演出に変わり、アクセルオフでアフターバーンのような音がする演出もある。

さらに、「ドリフト」モードでは、アイドリング回転数が1800rpm程度にまで高まるほか、ESCスポーツモードへの切り替えやシステムによる動力配分などによりハンドリングも「過激」になる。

画像: 20イヤーズの専用モードとしてDCCには「ドリフト」と「スペシャル」の2つのモードが追加されている。

20イヤーズの専用モードとしてDCCには「ドリフト」と「スペシャル」の2つのモードが追加されている。

今回は公道での試乗なので、わずかに試した程度だが、たしかにオーバーステア傾向ながらコントロールしやすく、いかにもドリフト走行を楽しむのに適していそうな雰囲気がヒシヒシと伝わってきた。いつかぜひ本領を発揮させて走らせてみたい、と思わずにはいられなかった。

もうひとつの「スペシャル」モードは、クルマにとって過酷な環境のニュルブルクリンクでトラクションと安定性を高めてコーナリングスピードを向上させタイムを出せるよう調整されているらしく、乗り味としてはむしろ安定感の高さが印象的だった。

ベース車にも採用されたリアベクタリングによるゴルフRならではの俊敏な回頭性と正確なハンドリングはもちろん、追加された大きなスポイラーによるエアロダイナミクスの向上も効いて、高速巡航時のスタビリティやトラクションも高まっているようだ。それでいて不快に感じることのない乗り心地が確保されているあたりもゴルフRらしい。

ブレーキも十分に確保されたキャパシティとともに、右足のつま先でのわずかな動きにもリニアに応える繊細なコントロール性を備えている点も感心させられた。

ゴルフRのパフォーマンスを最大限に楽しめるような走りと魅力的な付加価値を身につけながらも、その価格がベース車に対して120万円あまりの差にとどめられていることを思うと、792万8000円の車両価格も決して割高ではないように思えてくる。(写真:佐藤正巳)

フォルクスワーゲン ゴルフR20イヤーズ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4295×1790×1460mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1984cc
●最高出力:245kW(333ps)/5600-6500rpm
●最大トルク:420Nm/2100-5500rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・56L
●WLTPモード燃費:12.7-13.0km/L
●タイヤサイズ:235/35R19
●車両価格(税込):792万8000円

This article is a sponsored article by
''.