ル・マン24時間レースを主催するACOの要請で開発
100周年を迎えたFIA世界耐久選手権の第4戦ル・マン24時間レースが2023年6月に開催された。トタルエナジーズがサポートする「チーム・プジョー・トタルエナジーズ」のプジョー 9x8は、93号車は総合8位、94号車は総合12位でチェッカーフラッグを受けた。このレースの公式燃料サプライヤーを担当しているのがトタルエナジーズである。
ル・マン24時間レースを主催するオートモビル・クラブ・ド・ルエスト(ACO)はWECの規則を再定義した。とくにハイパーカーカテゴリーの制約は厳しくなった。これを達成すべくトタルエナジーズはガソリンを1滴も使わないバイオエタノール燃料を開発した。それが「エクセリゥム・レーシング100」なのだ。
ACOの求めに応じるべく開発され、パフォーマンスと効率性を両立したエクセリゥム・レーシング100は、2022年3月に開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦、セブリング1000マイルで初めて使用された。
エクセリゥム・レーシング100の大きな特徴は、欧州連合(EU)公認の自主認証機関から100%認証を受けた「持続可能な原料」から作られている点だ。その原料とは、フランスのブドウ園で出た廃棄物、つまりワインの製造工程で出る搾りかすや残渣だ。
以前からバイオエタノール燃料はモータースポーツシーンや、国によっては市販車にも使われてきた。CO2削減や環境負荷低減といった面では化石燃料よりも有用なエタノール燃料だが問題点もあった。それは人の食料や家畜の飼料にもなる糖やデンプンを含む植物を原料にすることが多かった点だ。
世界的に食料危機が大きな問題として注目されるなかで、「クルマを走らせるために食料になりうるものを燃料に使うというのはいかがなものか」という議論が起こった。しかし、エクセリゥム・レーシング100は廃棄物を原料にすることでこの問題をクリア。さらに100%再生可能燃料を使うことで、サーキットを走るマシンから排出される温室効果ガスを少なくとも65%削減するという効果も出しているという( 欧州RED II指令<2018/2001>に基づく)。
そんなサスティナブルな燃料「エクセリゥム・レーシング100」を使用するレースは、今後増えていく予定だ。(文:Motor Magazine編集部 小泉優太/写真:ュリアン・デルフォス<DPPI>、マリアン・チトカ<MCHフォトグラフィ>)
【コラム】Fanatec GT World Challenge Powered by AWSにも
トタルエナジーズがエクセリゥム・レーシング100を供給
2024 年から欧州とアジアで開催される「Fanatec GT World Challenge Powered by AWS」の公式燃料サプライヤーとして、トタルエナジーズが「エクセリゥム・レーシング 100」を供給することが決定した。なお 24 年シーズンは 3 月から始まる。