日産をはじめ、各方面の力を借りて3年の年月をかけて甦らせた

登場から時は流れ、60年を経て幻のコンセプトカーは甦った。その経緯を今回、復活させた個人オーナーの田中裕司さん(58歳)に伺うことができた。

僅かに残った図面と側面の写真から3Dでおこしたデータから再現は始まった。今時はクレイモデルを作ることはないというが、「教育用」とあるように現役のデザイナーの学習の一環という名分もあるとか。

田中氏は関西で会社を経営しつつレーシングチームも所有する方。S54Aのスカイラインをはじめとして、計155台ものプリンスや歴代スカイライン、R380などのレーシングカーをコレクション(動体保存)している。

田中氏に依れば、プリンス1900スプリントを復活させるにあたって、まずはS50のスカイラインを2台手に入れ、シャシのみを使用。外板はオリジナルの鋼板に換えて全てFRPで成形し、エンジンはグロリアの1900のG2型を3器つぶして作り上げ、搭載したという。

ちなみにレイアウト図はあったものの、詳細な設計図などはほとんど残っておらず、日産自動車アーカイブスをはじめ、オーテックやINDEX、HRS蓮池レーシングサービスといったクルマ関連各社の協力を得て、当時の写真から3Dで数値をおこしクレイモデルを作って再現。2020年9月から3年の歳月をかけ、最後は今年5月に鈴鹿サーキットで田中氏自身のドライブにより、車両お披露目のテストランまで行ったという。

NMC(日産モータースポーツ & カスタマイズ株式会社)オーテックデザイン部が協力し、日産デザイン部との共同で実際にクレイモデルまで製作したという力の入れよう。

物心ついた頃から身近にプリンスがあった

いやはや、驚くべき情熱だが、そうまでしてこのプリンス1900スプリントにこだわった理由とは何か? 

展示はプリンス1900スプリントのベース車両となった「プリンススカイライン1500デラックス」の同型車両と、ミケロッティがスタイリングを担当したコンセプトカー「プリンススカイラインスポーツ」(1960年 トリノ国際自動車ショー出展車)も併せて行われる。この3台が見られるのは、10月30日まで。

田中氏曰く、
「私たち日産、スカイライン、プリンスのファンの中では、これが原点というか基本というか、一番憧れの存在でした。私の生まれる2年前に登場したクルマなので、後から雑誌などで知って夢中になりました。プリンスはおそらくこのクルマで第一回の日本グランプリ参戦を考えていたと思います」。

物心つく頃から身近にS54Aのスカイライン2000GTがあり、それ以来、コレクションを重ねてきたという。他にもR380の復刻なども手がけてきたというが、その一つの集大成がこのプリンス1900スプリントとか。

展示は日産ヘリテージコレクションからプリンス1900スプリントのベース車両となった「プリンススカイライン1500デラックス」の同型車両と、ジョヴァンニ・ミケロッティがスタイリングを担当したコンセプトカー「プリンススカイラインスポーツ」(1960年 トリノ国際自動車ショー出展車)も併せて行われ、イタリアの巨匠たちとプリンス自工の知られざるストーリーを紹介している。

展示期間はすでに9月29日から開始されているが、当初の10月24日までの予定が伸びて10月30日までとなった。オーナーカー故に、この1900スプリントを間近に見られるのはこの機会ぐらいかも。横浜駅近の日産グローバル本社にてその流麗な姿を堪能できるのは、あと2週間ちょっとだ。
(Photo&Text:FAN BOOK編集部 森田浩一郎)

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