EQS SUVに続くのは、プレミアムミドルクラスに位置する最新BEVのEQE SUVである。両車の見た目はとてもよく近似しているが、ボディサイズは明確に区分けされており、全長とホイールベース、そして定員の違いなどで、ユーザー層が明確に棲み分けられている。(Motor Magazine2023年11月号より)

メルセデスのニューエイジ「EQ」の新たな一手

ルックスや生い立ち、そして現在でもこだわり続けるラダーフレーム式の骨格構造を筆頭とした独自で固有のメカニズム群を見るにつけ、それを他のモデルたちと同じカテゴリーの一員として紹介するのは、どうしても抵抗を感じるのが「Gクラス」という存在。

画像: ダイナミックパフォーマンスは<350>級だが、その力感溢れる走りはBEVならでは。

ダイナミックパフォーマンスは<350>級だが、その力感溢れる走りはBEVならでは。

だが、見方を変えればそんな孤高の1台を別にすると<GL>という記号に車格を示すアルファベットひと文字を加えた車名でラインナップを表すことのできたのが、ちょっと前までのメルセデス・ベンツSUVのラインナップだった。

ところが近年、そこに新たなキャラクターの持ち主が続々と追加されている。それは、日本では2019年7月に発表された「EQC」以来、急速にバリエーションを増やし続ける、車名の冒頭に<EQ>の文字が与えられたピュアEV(BEV)のSUV群だ。

前出EQCに続き2021年にはEQA、その翌年にはEQB、さらに2023年になってEQS SUV、EQE SUVと、日本でもアッと言う間にEQの名を持つSUVが増殖した。現在では「メルセデス・ベンツのSUVの半分はBEV」と車種の紹介ができる状態にまで至っている。

そんなEQシリーズのSUVで興味深いのは、大別するとそれが2つのグループに分けられることだ。EQAとEQB、そしてEQシリーズ中でもっとも早く登場したEQCは、いずれもボディの基本骨格を既存のエンジン搭載モデルと共有する。

一方でEQS SUVとEQE SUVという、EQシリーズ中でも大型で、かつデビュー時期の新しいモデルでは、BEV専用に開発されたプラットフォームを採用と、まったく異なる手法を選んでいるからだ。

新しい時代のおもてなしに、思わず見入る

こちらのパートの主役、EQE SUVは、まず一見した段階ではひと足早くデビューを遂げたEQS SUVとよく似た雰囲気の持ち主。前述のように、ともにBEV専用の骨格を採用する両車は、実はそのプラットフォームそのものが<EVA(Electric Veicle Architecture)2>と呼ばれる共通のアイテム。

画像: こちらはEQS 580 4マティック SUV スポーツ。EQS 580 SUVは全長5135mm(450は5130mm)、ホイールベース3210mm、全高1725mm。EQE SUVとは後席ドアの長さが異なる。21インチホイール標準。

こちらはEQS 580 4マティック SUV スポーツ。EQS 580 SUVは全長5135mm(450は5130mm)、ホイールベース3210mm、全高1725mm。EQE SUVとは後席ドアの長さが異なる。21インチホイール標準。

全長に対して相対的にホイールベースが長く、すなわち前後オーバーハングが小さいプロポーションや、グリルがブラックパネル化されたフロントマスク、左右ランプ間が繋がった細身のテールレンズ等々と、デザインのディテールに共通項が多い点も、そんなことを感じさせる大きなポイントになっている。またキャビンへと乗り込んでからも、そうした印象は継続する。

EQS SUVで、ダッシュボードの全幅が3つのディスプレイを内含する1枚のゴリラガラスで覆われた<MBUXハイパースクリーン>を経験してしまった後では、その衝撃度がいささか薄れて感じられたのは事実。

それでも中央部にはセンターコンソールからシームレスに続く大型の縦型ディスプレイがレイアウトされ、パッセンジャー側にはさまざまなカラーが選択可能な無数の<メルセデススター>が散りばめられたダッシュボードは、これまでのモデルにはなかった未来感を演出。

「これが新時代メルセデスのおもてなし表現か」と思わず見入ってしまうデザインであることでは同様だと感じられる。

エンジン車では、ほぼ不可避であったキャビンを浸食する前後アクスル間のフロアトンネルが姿を消したことで、足元に完全にフラットなフロアが実現された点も見逃せない。リアシートへ座る3人に平等な足元空間が提供されることも、新時代のSUVらしさであると受け取る人もいるだろう。

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