EQS SUVに続くのは、プレミアムミドルクラスに位置する最新BEVのEQE SUVである。両車の見た目はとてもよく近似しているが、ボディサイズは明確に区分けされており、全長とホイールベース、そして定員の違いなどで、ユーザー層が明確に棲み分けられている。(Motor Magazine2023年11月号より)

決定的に静かでスムーズ。課題が残る印象の人工音

そんなEQE SUVで走り始めると、BEVゆえにまず印象に残るのは、やはり決定的に静かでスムーズであることだ。

画像: EQS SUVほどではないものの、十分に先進感あるデザインのインパネディスプレイ。

EQS SUVほどではないものの、十分に先進感あるデザインのインパネディスプレイ。

全力での加速力は、一部のBEVが売り物のひとつとするような<爆速>までは行かないものの、それでも実用上では十二分と言える速さ。もちろん、前後アクスルのそれぞれにモーターを配した4WDシャシの持ち主ということもあって、少なくとも舗装路面上ではそうしたシーンでも、いずれかの車輪が空転の素振りを示すことなどは一切なかった。

速度が高まっても風切り音の上昇度合が常に予想を下回ってくれたのは、ボディ構造部の空洞部分に防音発泡剤が充填されたり、Aピラーとウインドシールドとの境目に特殊形状のゴム製トリムが取り付けられたりと、その入念さが報告される静粛性への配慮が功を奏していると実感できる点だ。

もちろん、フロア下の整流も徹底されていることは0.25というEQS SUVの0.26すら上回るCd値にも表れている。

ただし、こうして各部の静粛性向上策が徹底された分、結果的にやや取り残された感を覚えたのがロードノイズだ。テスト車が標準より1インチ大径の21インチホイール&タイヤを装着していたこともあってか、以前に試乗したEQS SUVの後塵を拝した印象を受けた。

また複数の音色から選択可能ながら、正直いずれもピンと来るものはなかった人工音の<ドライビングサウンド>も含め、BEVの静粛性に関してはエンジン車とは異なる新たな課題がまだ残されているように感じられる。 

これまでエンジン車が培ってきた長いヒストリーに比べれば、BEVの歴史はまだ始まったばかりも同然。しかし、すでに相当な仕上がりレベルにあるEQE SUVやEQS SUVが、そんなスタートラインに立ったばかりのモデルだと知れば、SUVの世界でもこの先の進化には大きく期待せざるを得なくなってしまうのだ。(文:河村康彦/写真:永元秀和)

メルセデス・ベンツ EQE 350 4マティック SUV ローンチエディション主要諸元

●全長×全幅×全高:4880×2030×1670mm
●ホイールベース:3030mm
●車両重量:2630kg
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:144kW(196ps)/2662-15913rpm
●モーター最大トルク:514Nm/0-2662rpm
●バッテリー総電力量:89.0kWh
●WLTCモード航続距離:528km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):1369万7000円

This article is a sponsored article by
''.