1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、フェラーリ J50だ。

フェラーリ J50(FERRARI J50:2016)

特別な顧客や特定の地域のために、フェラーリはカタログモデルをベースにした限定モデルを発表することがある。ピニンファリーナとの協業60周年を記念し、6台のみ生産された「セルジオ」や、2014年にフェラーリの米国進出60周年を記念し、10台だけ限定生産された「F60 アメリカ」、そしてこの「J50」が、それにあたる。

画像: ポリカーボネート製のエンジンカバーと、ロールバー風のエアロフォイルと呼ばれるリアセクションのデザインも独特だ。

ポリカーボネート製のエンジンカバーと、ロールバー風のエアロフォイルと呼ばれるリアセクションのデザインも独特だ。

2016年12月に日本でワールドプレミアされたJ50は、フェラーリの日本進出50周年を記念して作られたスペシャルモデルだ。車名の「J」はもちろんジャパンを意味している。限定台数は、F60 アメリカと同じく10台だった。

J50は、V8ミッドシップ オープンモデルの488スパイダーをベースに、フェラーリ スタイリングセンターのチームが設計した。1970〜80年代に人気を博したフェラーリ ロードカーを想起させるタルガ スタイル。488スパイダーがベースとはいえ、ボディは新設計だ。中央部を低くしたボンネット上の2つのカーボンファイバー製エアチャンネル、透明ポリカーボネート製のエンジンカバー、ジェットエンジンのアフターバーナーからヒントを得たエクストラクターシェイプのリアディフューザーなど、ディテールも独特のものだ。

スペシャルモデルゆえ、詳細なスペックはまったく発表されていない。だが、ミッドシップに搭載されるパワーユニットは488スパイダーの3.9L V型8気筒 DOHCツインターボが基本。最高出力は690psと20ps引き上げられたスペシャルバージョンとなり、このモデル専用設計の20インチ鍛造アルミホイールを装備する。インテリアでは、エンジンフードのアウトライン デザインを採用したスペシャルトリムのスポーツシートが特徴的。デタッチャブルのハードトップはカーボンファイバー製で、2分割してシート後方に収納が可能だ。

J50は、1台1台オーナーのリクエストによってテーラーメードで仕上げられるため、1台として同じクルマはない。車両価格は、カスタマイズの程度によって250〜300万ユーロ(当時のレートで約3億〜3億6000万円)といわれていたが、発表時にはすでに全車売約済みであった。

画像: インパネの基本デザインは、ベース車の488スパイダーと大きく変わらないが、素材や色はオーナーのリクエストでカスタマイズが可能だ。

インパネの基本デザインは、ベース車の488スパイダーと大きく変わらないが、素材や色はオーナーのリクエストでカスタマイズが可能だ。

画像: amzn.to
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