ジャパンモビリティショー(JMS)の会場でひときわ注目を集めていたメーカーのブースがBYDだ。中国をはじめとした世界各地のBEV市場でシェアを拡大し続けているBYDのブースで目撃した最新モデルと、そこで感じた勢いをレポートする。

アルヴェルも真っ青? 豪華ミニバンD9も日本初公開

画像: D9の寸法は全長5250×全幅1960×全高1920mm。アルファード、ヴェルファイよりも全長と全幅は大きい。

D9の寸法は全長5250×全幅1960×全高1920mm。アルファード、ヴェルファイよりも全長と全幅は大きい。

もう1台注目したいモデルが、大型ミニバンのD9だ。このモデルはメルセデス・ベンツとの共同開発によって生まれたモデルだ。中国本国ではBEVと1.5Lガソリンエンジン+モーターのPHEVが用意されている。

車内は2列目は2座のキャプテンシート、3列目は3人がけのベンチシートを備える7人乗りで、その設えはプレミアムと謳っているだけに非常に豪華。シートやトリムにはレザー素材がふんだんに使われているほか、(とくに2列目の)タッチ式ディスプレイを使った操作系は日欧の高級ミニバンやサルーンに劣らない出来だ。

さらに、運転席まわりにはほかのBYDのモデルと同じく大型のインフォテインメントディスプレイを備えるほか、スイッチ類はほとんどがタッチパネル化されるなど、先進性を感じる作りとなっている。

実車に触れた時、ふと気になったのがフロントドア開閉時の感触だ。重すぎず軽すぎずの適度な重さと安っぽくない音がまさに高級車のそれだったのだ。ドアヒンジを見るとプレス整形ではなくブロックのもを使っていた。もしかしたらこのあたりにメルセデス・ベンツのノウハウが注ぎ込まれているのかもしれない。

ちなみに、D9には「DENZA(デンツァ)」というシリーズ名が付くが、これを中国語(漢字)で表記すると「電座」となる。まさにこのモデルを象徴するシリーズ名と言えるのではないだろうか。

BEVのコア技術に関する展示も充実

画像: e-プラットフォーム 3.0を前方から見た状態。インバータやモーター、バッテリーの搭載位置はかなり低い。

e-プラットフォーム 3.0を前方から見た状態。インバータやモーター、バッテリーの搭載位置はかなり低い。

JMS会場のBYDブースでは、ここまでで紹介してきたBEVを支えるコア技術に関する展示もされていた。熱安定性性を高め、薄くすることで搭載効率を上げたリン酸鉄リチウムイオンを用いた「ブレードバッテリー」、動力源であるモーターとその制御に必要な8つの部品をワンパックにして重量は−15%、体積は−20%を実現した「8in1パワーシステムアッセンブリー」、これらをインストールする「e-プラットフォーム 3.0」を展示。わかりやすくディスプレイされていた。

BYDのBEV関連の技術力の高さと、クルマの実力がかなりのレベルに達していることはすでに日本に導入されているATTO3やドルフィンなどで理解していたし、本国では興味深いモデルが展開されていることも知っていた。

しかしBYDブースで実車を目にして触れた時、すでに日本で販売済みのATTO3やドルフィンはまだ序の口で、BYDの真の実力の一部がこれから日本に導入されるシールでようやく見えてきた、といったところなのではないか思った。

そしてU8 ヤンワンやD9では、新たな境地へと一歩足を踏み入れてきた・・・と感じた。そう考えるとBYDとは実に驚異的なBEVメーカーであり、BEVというフィールドにおいては日欧の自動車メーカーの存在価値を揺るがしかねない、脅威的な存在でもあることを改めて思い知らされたのだった。

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