全てのパーツは必要とされる機能性がある
また、エアロパーツはけっして見た目だけのものではありません。カナード形状にしたフロントバンパー下部、標準車よりも40mm低く37mm外側に出したサイドスカート、下部をディフューザー形状にしたリアバンパー、バックドアのリアスポイラーはダウンフォースを高めています。さらにアルミホイールにはブレーキ冷却性能の向上やドラッグ低減、ダウンフォースを高める効果があります。
さらに、標準車よりもCd値は6%向上、CL値(揚力係数)は40%も低減されています。開発者によるとダウンフォース増強とCL値の低減により、総合的に見るとゼロリフトを実現しているとのことでした。
ちなみに、アリアNISMO専用のパーツの装着による車両重量の増加は標準車に対して20〜30kgとなります。ただし、この重量増はオプションの有無によってひっくり返る程度の重量増でしかありません。しかもアリアNISMOのシステム出力は標準車比で、B9は標準車(290kW[394ps])に30kW(41ps)プラスの320kW(435ps)に、B6は標準車(250kW[340ps])に+20kW(27ps)プラスの270kW(367ps)にパワーアップされているので、重量増はさほど気にする必要はないでしょう。
もう少し駆動システムについて補足すると、モーターやインバータ、バッテリーなど電動システムのコアになるハードウェアは標準車のままで、ソフトウェアの変更でシステム出力の向上が図られています。またアリアNISMOのパワーアップは、現在のハードウェアが持つポテンシャルの限界ギリギリのところまで使って実現したとのこと。これ以上のパワーアップを図るのであればハードウェアに手を加えないと難しいとこととでした。
車内は細かいところにまでNISMOモデルらしさを採り入れた
説明が長くなりましたが、いよいよ車内に乗り込みます。試乗車は総電力量91kWhのリチウムイオンバッテリーと前後に各1基のモーターを備えた4WDモデルの「アリアNISMO B9 e-4ORCE」です。ドアを開けるて最初に目に入ったシートは標準車とは別物で気分が上がります。このスポーツシートはNISMO専用でサイドサポートを高くしたほか、身体が触れる部分には滑りにくいスエード調ファブリックを使ってホールド性を高めています。
ちなみにこのシートは外部のメーカーに開発を依頼したものではなく、日産が独自に開発したものとのこと。アリアというアッパー志向のSUVにマッチするシートは、スポーツ走行に寄りすぎてもコンフォートに振りすぎてもダメで、ちょうどいい塩梅のものを作るには自社開発がベストだったという事情もあったとのことです。
NISMOロゴが横に配置されたレッドのスタートスイッチを押して、システムがオンになるとメーターにもNISMOロゴが表示されます。また、インパネには赤いラインが入り、足もとやドアにはメッシュの向こうがぼんやりと発光する「レッド“ANDON”イルミネーション」を配置するなどの演出は、NISMOモデルに乗っていることを強く実感させます。