2024年3月8日、日産は同社のフラッグシップ電気自動車(BEV)のアリアに、スポーツモデルの「アリア NISMO」を追加、6月に発売すると発表しました。これまでのNISMOモデルのベース車とは駆動システムもクルマの性格も異なるアリアをどうNISMO流に仕上げたのか。クローズドコースで試乗した印象も含めてご紹介していきます!

航続距離の低下は最小限、走行モードによる差もわずかだ

画像: テストコースを快調に走るアリアNISMO。走行時に車外から入ってくる騒音もかなり抑えられていた。

テストコースを快調に走るアリアNISMO。走行時に車外から入ってくる騒音もかなり抑えられていた。

高性能化されたアリアNISMOの航続距離は標準車と比べてどうなの、という点も気になるところだと思います。アリアNISMOの満充電時の航続可能距離は試乗時は未公表とのことでしたが、パフォーマンスアップにより標準車よりも短くなります。しかしそれは10%以内に抑えられているとのことです。そもそもアリアの一充電航続距離はバッテリーの総電力量が66kWhのB6で470km、91kWhのB9では560kmと、現在日本で販売されているBEVの中では長いほうなのであまり気にする必要はないでしょう。

また、試乗中に走行モードを変えてもメーターに表示される航続距離は1〜2km変わったり、変わらなかったり、という感じでした。なので、走行モードによる電力消費の増減もあまり気にする必要はなさそうです。

価格は標準車よりもかなりアップするがそれだけの価値はある

画像: けっして買いやすい価格のクルマではないが、国産BEV SUVの新境地を切り拓くモデルかもしれない。

けっして買いやすい価格のクルマではないが、国産BEV SUVの新境地を切り拓くモデルかもしれない。

ご紹介してきたアリアNISMOの気になる価格は「NISMO B6 e-4ORCE」は842万9300円、「NISMO B9 e-4ORCE」は944万1300円です。ベース車と比較すると前者は123万4200円高く、後者は145万4200円高くなりますこれを高いと感じるか、安いと思うかは個人によりますが、筆者はそれほど高くはないのではないかと思いました。

そもそも、電動車の出力を上げたり下げたりすることは、ひと昔前のエンジン車のROMを書き換えたり社外製過給器を組み込むなどといったチューニングとは次元が異なり、メーカーやメーカー直系のチューナー以外ではかなり難易度が高いのです。

そして、そのパワーアップに見合った足まわりの変更や効果的な空力パーツの追加、NISMOモードの音の演出というメニューがセットになっているを考えると、けっして高くはないと思うのです。

ちなみに開発陣に「アリアNISMOのシステム出力アップのメニューをノートオーラなど向けて販売されているスポーツリセッティングのようなカタチで販売する可能性はあるのか」と言う興味本位の質問をしたところ、その予定は一切ないとのことでした。

日産のBEV史上最強にして現行ラインナップではGT-Rに次ぐパワー、快適な乗り心地と爽快な速さ、SUVボディならではの車内の広さと運転のしやすさなどを兼ね備えたアリアNISMO。国産車ではまだ数少ない本格的なスポーツBEVの先駆けであると同時に、とても多くの価値を見いだせるモデルだと感じたのでした。
(写真:伊藤嘉啓)

日産 アリアNISMO B9 e-4ORCE 主要諸元

●全長:4595mm[+55mm]
●全幅:1850mm
●全高:1655mm
●ホイールベース:2775mm
●車両重量:2230kg
●パワーユニット:モーター×2基(前後各1基)
●システム最高出力:290kW(394ps)[+30kW(+41ps)]
●システム最大トルク:600Nm(61.1kgm)
●バッテリー種類・総電力量:リチウムイオン・91kWh
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:255/45R20
●乗車定員:5名
●価格:944万1300円(税込み)
※[ ]内はベースのアリア B9 e-4ORCE比

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