2024年3月8日、日産は同社のフラッグシップ電気自動車(BEV)のアリアに、スポーツモデルの「アリア NISMO」を追加、6月に発売すると発表しました。これまでのNISMOモデルのベース車とは駆動システムもクルマの性格も異なるアリアをどうNISMO流に仕上げたのか。クローズドコースで試乗した印象も含めてご紹介していきます!

本来の乗りやすさはそのままに、さらに上の走りも味わえる

画像: 弱い雨が降る中、クローズドコースでの試乗をスタート。走り出しは極めてスムーズだ。

弱い雨が降る中、クローズドコースでの試乗をスタート。走り出しは極めてスムーズだ。

まずは走行モードを「STANDARD」モードにしてフツーに発進してみると、スルスルと走り出します。試乗コースに出て加速しようとアクセルペダルを踏み増した瞬間、間髪入れずにグンと後ろから押出されるように加速します。力強さと扱いやすさをバランスした設定で、とても乗りやすいと感じる一方で、標準車のB9 e-4ORCEとあまり変わらないという印象も受けました。

しかし「NISMO」モードに切り替えると発進時のレスポンスは標準車よりも良いと感じました。また、側道からメインのコースに合流しようと、ハンドルを切りながらアクセルを少し踏み込みすぎた時には後輪がズズッと横にブレるようなパワフルさもありました。

試乗時は弱い雨が降っていて路面が少し濡れていたせいもありますが、これはハンドルを切った時にやや後輪側の駆動力配分を高めにして旋回性を高めていることも影響しているのかもしれません。ただし、不安を覚えるような挙動ではなく「NISMO tuned e-4ORCE」と名付けられた専用チューンの電動4WDシステムが完璧にアシストしてくれるので心配は不要です。

ちなみに足まわりは、サスペンションのバネ定数をフロント+3%、リア+10%(B9のみ)に変更。フロントストラットの外筒板厚をアップしてキャンバー剛性をアップされたほか、前後の減衰力にもNISMO専用のチューニングが施されていますが、可変サスペンションといったシステムは採用されていません。

さらにENKEI製の専用アルミホイールの採用による軽量化(標準車のものよりも質量は5%低減)といった具合に、多くのNISMO専用メニューが盛り込まれています。

NISMOモデルだが想像よりも乗り心地はマイルドだった

画像: テストコースなので路面の状態はかなり良いコンディション。荒れた路面でも試して見たいと思った。

テストコースなので路面の状態はかなり良いコンディション。荒れた路面でも試して見たいと思った。

実は試乗する前は少し硬めなのかな、と思っていたのですが実際に走り出すと硬さはあまり感じません。試乗コースには高速道路の継ぎ目を再現したようなセクションもあるのですが、そこでもガツンというような入力はなく、トトン、トトンといった具合にリズミカルにクリアしていきます。この走りからもアリアNISMOの想定ユーザー層の年齢が高めであることが実感できます。

一方、ワインディング路やスラロームでは車体の傾きが思っていたよりも少し大きく感じました。ただし、こういったシーンでは高めのサイドサポートを備えたスポーツシートがしっかり身体をホールドしてくれます。

120km/hまで加速が許される直線路では、約60km/hからアクセルペダルをベタ踏みしてみます。すると一般人には強烈過ぎる中間加速を見せます。頭の血が後方へ移動して一瞬クラっとしそうな勢いでスピードが増していき、700mあるかないか程度のこのセクションはあっという間に終わってしまいます。

これは走行モードが「STANDARD」でも「NISMO」でも同じ印象でした。「ECO」では加速が若干緩い印象でしたが、加速力としては十分なものでした。

このセクションの出口では40km/hまで減速しなくてはならないのですが、ブースターを強化すると同時にフロントに高温時でも効き目の変化が少ないロースチール材を使ったパッドを用いるなどした専用ブレーキおかげで難なく減速できます。

ただし、加速については標準車のB9 e-4RORCEでもかなり近い体験ができるような気もしました。そもそも標準車も十分パワフルで速いのです。ですが、開発時のデータのよると、高速道路での80km/hから120km/hまでの加速タイム(アクセル開度50%)では標準車よりも1秒縮んでいるとのことなので、絶対的な速さではやはりアリアNISMOが標準車に勝っているようです。

NISMOモードでは音の演出にもこだわった

画像: 「NISMO」モード選択時はメーター表示にもそこかしこに赤い挿し色が入る。

「NISMO」モード選択時はメーター表示にもそこかしこに赤い挿し色が入る。

「NISMO」モードでもうひとつ触れておきたいことが、走行時に発する音が明らかに変わることです。これはアリアNISMOのために開発された人工音をクルマの加速に応じて発するというもので、オプションの「NISMO専用BOSE Premium Sound System」を選択すると味わえる演出です。

ちなみにこの音はフォーミュラEマシンを運転しているようなEVサウンドをイメージしたとこのと。確かに加速音は「ヒュイーーーン」といった、いかにもBEVらしい音を、アクセルオフ時や減速時「ヴォロロロ〜」のという感じの、なんとも言えない低音を発するのです。

個人的に気に入ったのはアクセルオフの音で、VQエンジン(3.5L)搭載車のアクセルオフ時やパーシャル時の「ドロロロー」といったエンジン音をイメージしているのかな、と思いました。ちなみに開発陣はエンジン音を意識してはいないとのことですが、筆者としては少し嬉しくなる演出でした。

This article is a sponsored article by
''.