エンジンから駆動系まで技術的ハイライトは多い
今回行われたS3スポーツバック/S3セダンの大幅改良は、単なる装備のアップグレードにはとどまらず、エンジンの強化、RS3ゆずりのトルクスプリッターの採用、トランスミッションのチューニングなど多岐にわたる。
まず2L直列4気筒ターボ2.0TFSIエンジンは、従来よりも最高出力が23ps、最大トルクが20Nm増加し、333ps/420Nmにパワーアップ。また、プリロードターボチャージャーの採用により低速域から素早く過給することが可能となり、0→100 km/h加速は4.7 秒となった(最高速度は従来どおりリミッターにより250km/h)。
7速Sトロニックにも改良が加えられ、クラッチをより強く素早く密着させることによってシフト時間を短縮し、さらに素早い加速が可能になったことも加速の鋭さにつながっている。
サスペンションは、ネガティブなホイールキャンバーを可能にする新しいピボットベアリングがフロントに採用されるとともに、サスペンションメンバーの剛性が高められた。
駆動系ではRS3ゆずりのトルクスプリッターの採用が大きなポイント。トルクスプリッターは、ドライブシャフトの電子制御油圧マルチプレートクラッチを利用して後輪の左右の間でトルク配分をアクティブに可変させるメカニズムで、コーナーの内側と外側の後輪にトルクを最適に配分する。
こうしたパフォーマンスアップに対応して、もちろんブレーキやタイヤも強化。フロントアクスルには直径357mm、厚さ34mmのベンチレーテッドブレーキディスクを装備、2ピストンキャリパーも新たに開発された。タイヤは18インチの225/40を標準装備し、オプションで19インチの235/35も設定される。
エクステリア、インテリアの仕様も変更
今回の大幅改良では、エクステリアもさらにスポーティで引き締まったものとなった。 シングルフレームグリルはフラットで幅広の新しい形状となり、モータースポーツからインスピレーションを得たというフロントスポイラーが、S3のワイドなボディと低い車高をさらに強調する。
リアでは光沢のある黒いエプロン、Sモデルの特徴である4本のテールパイプが印象的。オプションのパフォーマンスエキゾーストシステムは、ボリュームのあるサウンドを実現するチタンサイレンサーを備えている。
インテリアは、シフトレバーのデザインやエアヴェント、ファブリックのインレイ、照明に至るまで全面的に変更が加えられ、精度の高いシャープな印象となった。
なお、アウディドライブセレクトに従来のドライブモードに加えて「ダイナミック プラス モード」が搭載され、6つの異なるモードが選択できるようになった。この「ダイナミック プラス モード」では、スロットルレスポンスがさらにダイレクトになり、できるだけ多くのトルクがリアアクスルに伝達されるようになる。
ボディカラーは、ディストリクトグリーン、アスカリブルー、プログレッシブレッドなどのメタリックのほか、デイトナグレーのマット仕上げも追加されている。
日本導入についてのアナウンスはないが、欧州ではすでに2024年3月にA3のビッグマイナーチェンジが行われており、それとあわせての発表となるようだ。