タイプ964のポルシェ911をレストア&カスタマイズ
「シンガー」の名と、彼らが手がけるポルシェ911を知っている人は、かなりのクルマ好きといえるだろう。シンガー・ヴィークル・デザイン(以下、シンガー)は、カリフォルニアを拠点とするラグジュアリー スペシャリストだ。空冷ポルシェ911をオーナーとのコラボレーションによりレストアし、「理想の911」に仕上げることで世界的に知られている。
創業者兼会長であるロブ・ディキンソンは「理想の911を作りたい」という思いから自らレストア&カスタマイズした911を2009年のモントレー・カーウイークに出展。これが好評だったことから会社を設立し、以来、空冷ポルシェ911のオーナーとのコラボレーションによるオーダーメイドのレストアで高い評価を受けている。ちなみに「シンガー」という社名は、ディキンソン氏がロックミュージシャンであったことに由来しているという。
シンガーでは、ベース車のフレームとエンジンブロック、サスペンションの一部など以外、多くのパーツをオリジナルで製作する。ボッシュ、ミシュラン、BBS、ブレンボ、レカロなどからパーツの供給も受けている。エンジンはF1のウイリアムズとコラボレーションして開発し、ボディパネルはカーボン製、インテリアのマテリアルやステッチなど、オーナーの希望に応じてカスタマイズしていく。
オーダーから納車までは、約2年半から3年。現在までに、400台ほどの911がシンガーによって再構築されている。現在のところ、ベースとしている車両はタイプ964(1989〜93年式の最後の空冷モデル)のポルシェ911のみをベースとしているが、将来的には「他の911や、911以外のポルシェも手がけてみたい」とディキンソン氏は語ってくれた。