2024年6月27日から6月30日(現地時間)、世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・ポーランドが北東部マズールィ地方のミコワイキを起点としたグラベル(未舗装路)ステージを舞台に開催され、トヨタのカッレ・ロバンペラが優勝。2位にトヨタのエルフィン・エバンス、3位にはMスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーが入った。勝田貴元(トヨタ)はラリー序盤からペースが上がらず8位に終わった。

レッキでオジェが一般車と衝突するアクシデントが発生

7年ぶりのWRC開催となったラリーポーランドは、競技開始前に大きな波乱があった。火曜日午前中のレッキ(ペースノート製作のための下見走行)で、トヨタのセバスチャン・オジェが一般車と衝突したのだ。オジェ、コドライバーのヴァンサン・ランデ、一般車の乗員2名とも大事には至らなかったが、オジエにはドクターストップがかかり欠場を余儀なくされた。

画像: アクシデントで負傷したセバスチャン・オジェに代わり、急遽参戦したカッレ・ロバンペラ。

アクシデントで負傷したセバスチャン・オジェに代わり、急遽参戦したカッレ・ロバンペラ。

トヨタは急遽このラリーに出場予定のなかったロバンペラにコンタクト。「自宅でクルマいじりをしていたところだった」という若き王者は代役出走を快諾してポーランドに向かい、特別措置のスケジュールでレッキをこなしてラリーに臨むこととなった。

6月27日(木)夕刻のスーパーSSで開幕したラリーも波乱が続いた。まず本格的な競技開始となる28日のSS2で、ランキング2位タイにつけるヒョンデのオイット・タナックが飛び出してきた鹿に激突され、デイリタイアを余儀なくされるというまさかのアクシデントが発生。さらにこの日は観客の安全管理不足で複数のステージが中途キャンセル、もしくは中断されるといういただけない事態もあった。

「代役=ロバンペラ」が快勝、トヨタを救う今季2勝目

予想外の展開の金曜日に首位に立ったのはスタート順のよかったヒョンデのアンデルス・ミケルセン。これに1.8秒差でロバンペラ、2秒差でエバンスのトヨタ勢が絡むという優勝争いとなった。

画像: 4位に入り、ドライバーズランキング首位を守ったヒョンデのティエリー・ヌーヴィル。ヒョンデはマニュファクチャラーズズランキングでも首位をキープ。

4位に入り、ドライバーズランキング首位を守ったヒョンデのティエリー・ヌーヴィル。ヒョンデはマニュファクチャラーズズランキングでも首位をキープ。

この状況に変化が訪れたのはロバンペラとエバンスがミケルセンをかわして、トヨタ1-2で迎えた29日(土)のSS12。エバンスがGRヤリスの右リアタイヤを剥離させて大きなタイムロスを喫し、ここで優勝争いから脱落してしまう。

ロバンペラとミケルセンの戦いに決着がついたのは、その差9.4秒で迎えた30日(日)のオープニングとなったSS16だった。ミケルセンのi20Nがバンクに右リアをヒットさせタイヤバースト。優勝はおろか表彰台圏外に陥落してしまったのだ。

これで楽になったロバンペラだが、日曜日単独で与えられる“スーパー・サンデー”と“パワーステージ”でも高得点を獲得すべく残る3SSでもペースを緩めずに走行。それぞれ2位、3位と力強い走りを披露して、第3戦サファリに続く今季2勝目を挙げた。

強行スケジュールでレッキこそ完遂できたのもの、事前のビデオチェックやイベント前テストなしで優勝の快挙となったロバンペラは「不思議な週になったね。準備とか色々なことでタフな戦いになったけど、チームにたくさんのポイントを獲得できてよかった」といつも通りの冷静なコメントを残した。

ドライバーズ選手権では今回4位、パワーステージ首位のティエリー・ヌーヴィルがランキング首位をキープ。エバンスが15点差、タナックが21点差で続いている。

なおマニュファクチャラーズ選手権では、またも“スーパー・サンデー”と“パワーステージ”でトヨタの獲得ポイントを上回ったヒョンデが10点差で首位をキープしている。

次戦第8戦ラリー・ラトビアは、7月18〜21日、同国西部のリエパヤを起点としたグラベル(未舗装)路で開催される。(文:新村いつき)

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