7人のエンジニアからなる小チームがラリー挑戦を計画
スペインの「バハ・アラゴン・ラリー」は砂漠など過酷で容赦のない自然の中を500km以上走行するクロスカントリーラリー。今年は7月27日〜28日の2日間にわたって行われた。
スペイン・バルセロナにある日産テクニカルセンター・ヨーロッパ(NTCE-S)のパワートレーン部門の7人のエンジニアからなる小チームは、日産独自のe-POWERシステムを搭載した「エクストレイル e-4ORCE」でこのラリーに挑戦し、見事に完走を果たした。
7人のエンジニアからなる小チームは2023年2月に「情熱プロジェクト」を結成。自らが開発したe-POWERシステムの優れたパフォーマンスと堅牢性を証明すべく、パワートレーンに大きな変更を加えることなく「バハ・アラゴン・ラリー」に挑戦し完走することを目指し、夜と週末を利用して非公式に車両の改造を行った。そしてこのプロジェクトはその後、NTCE-S のリーダーシップ チームのサポートを受けることになり、ドライバーはシャーシダイナミクスチームのホナタン・ヒホンとパワートレーンチューニングチームのセザール・フェルナンデスが担当することになり、オールNTCE-S で戦うことになった。
e-POWERシステムは従来のハイブリッドシステムとは異なり、電気モーターのみで駆動するためスムーズで応答性が高く、直線的な運転感覚が得られるものの、過酷なクロスカントリーラリーに挑戦するのは無謀なこととされてきたが、そんな常識を打ち破った。
■NTCE-Sパワートレイングループ ミケル・サソット氏
「バハ・アラゴン・ラリーの目標は、完走することでしたが、その目標を達成できたことを嬉しく、誇りに思います。気温が高く、路面は荒れて、厳しい状況でした。完走できたことは、e-POWERとe-4ORCEツインモーター4輪駆動システムに対する大きな評価です。また、このクレイジーなアイデアを実現するために懸命に働いたこの少人数のエンジニアグループの情熱と献身も評価に値します」
■日産地域研究開発担当シニアバイスプレジデント デビッド・モス氏
「日産の研究開発部門ではイノベーションと起業家精神を非常に重視しています。そのため、チームが先進的なe-4ORCE全輪駆動システムを搭載したエクストレイル e-POWER でラリーに出場できるかどうかの実現可能性について行った作業の結果を提示したとき、パワートレーンの堅牢性を示す素晴らしいプラットフォームであるという意見にすぐに同意しました」
■日産ブランド & カスタマー エクスペリエンス担当 コラリー・ムジー副社長
「日産では『平凡に逆らう』という挑戦をしています。つまり、積極的に、さらに先へ、より大胆に、そして慣習に挑戦する方法を模索しています。e-4ORCE を搭載した エクストレイル e-POWER の可能性を認識したバルセロナの小さなチームは、この精神を体現したのです。私たちは彼らと、バハ・アラゴン・ラリーでの彼らの素晴らしい成果を嬉しく誇りに思っています」
今回エクストレイル e-4ORCEでの挑戦はレギュレーションの制約のないオープンカテゴリーにエントリーしたが、来年のイベントではハイブリッド車などを対象としたストックカテゴリーでの参加も考えているという。