この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第88回目は、ロータリーエンジン搭載のプレステージ・スペシャリティカー、マツダ コスモAPリミテッドの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

パワーだけでなく低公害をアピールしたマツダの救世主

ロータリーを搭載したスポーツカーとしてセンセーションを巻き起こしたコスモスポーツは、昭和47(1972)年9月に生産を終了。

画像: コスモAPリミテッドには最強の13B型ロータリーが搭載され た。 他 に125psの12A型と100psの1.8 Lレシプロエンジンも用意されるなど選択の幅は広かった。

コスモAPリミテッドには最強の13B型ロータリーが搭載され た。 他 に125psの12A型と100psの1.8 Lレシプロエンジンも用意されるなど選択の幅は広かった。

そして3年のブランクを経て、プレステージ・スペシャリティカーとして蘇ったのが、コスモ APだ。同車は昭和50(1975)年のフランクフルトショーに「マツダ RX-5」の名で出品され、同年10月に国内販売を開始した。

燃費の悪さを踏まえ、低公害をアピールするAP(アンチ・ポリューション)を車名に掲げていたのはマツダの意地が感じられるところだ。スタイリングもセンターピラーの中央に小さなウインドウをはめ込んだ伸びやかなサイドシルエットや、縦線を基調とした立体的なグリルが新鮮な印象を与えている。

インテリアもゴージャスな作りで、ダッシュボードには5個のメーターが並び、シリーズの頂点に立つリミテッドは、パワーウインドウやリモコンミラーなど、フル装備だ。エンジンはレシプロの4気筒も設定されていたが、主役となるのはロータリー。リミテッドに搭載される13B型654cc×2ローターは、51年排出ガス規制をクリアし最高出力は135ps/6000rpm、最大トルクは19.0kgm/4000rpmを実現している。

画像: ウッドステアリングにウッドパネル、シフトノブとサイドブレーキレバーまでウッドが奢られ、スポーティ感と上級感を兼ね備えたコクピット。マツダらしいこだわりだ。

ウッドステアリングにウッドパネル、シフトノブとサイドブレーキレバーまでウッドが奢られ、スポーティ感と上級感を兼ね備えたコクピット。マツダらしいこだわりだ。

燃費も、サーマルリアクターやエンジンの熱効率の改善により、旧型に比べ40%の向上を果たした。最高速度は5速MTは195km/hに達した。コスモAPは発売から1年半にして10万台を販売し、マツダの救世主となる。昭和52(1977)年7月にランドウトップのノッチバッククーペ、コスモLを追加設定した。

マツダ コスモAPリミテッド(1975・CD25型)諸元

●全長×全幅×全高:4545×1685×1325mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1220kg
●エンジン型式・種類:13B型・2ローター
●排気量:654cc × 2
●最高出力:135ps/6000rpm
●最大トルク:19.0kgm/4000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/70SR14
●新車価格:179万5000円

This article is a sponsored article by
''.