ダンディライアンによる戦いはまさかの結末に
決勝日は天気が読めない状況ながらドライコンディション。気温33度、路面温度37度と前日や例年のもてぎラウンドに比べると低めで予選とはまた違った勢力図になる可能性も秘めたレースとなった。
37周で行われる決勝レースはポールシッターの山下がホールショットを奪い、太田、牧野とダンディライアンの2台が続く。後方ではスタートを決めた岩佐が坪井と接触するも両者そのまま走行を続ける。
トップ集団は等間隔のままレースを周回。ピットウィンドウがオープンとなる10周目になると、2番手につける太田が真っ先に動いた。
山下、そしてチームメイトである太田がピットに入ったことで必然的にステイアウトとなった牧野が2位となる。
上位勢で真っ先にピットインを行なった太田は新しいタイヤでハイペースで周回。ステイアウト組の後半の追い上げを防ぐため、できる限りギャップを広める作戦だ。
一方、トップの山下と2位牧野は後半フレッシュタイヤで追い上げるためにステイアウト。しかし、後方では太田が凄まじい速さで周回し、ギャップを広げていた。
そんな中、17周目のターン4で阪口がスロットルトラブルによりスローダウンしコース外に停止。コース外といえど際どい位置であることから、セーフティカーが出動される可能性が出たため、各陣営がピットストップに備えていく。
しかし、結果的にダブルイエローで車両の処理が完了したことでセーフティカー出動とはならなかった。
そして22周目、2位走行中の牧野がピットストップを敢行。牧野の動きに反応した山下も翌23周目にピットに入るも、牧野の先行を許してしまった。
ピットストップが完了したトップ集団の順位は太田、大湯、牧野、山下という並びに。太田は早めに動き、すでに2位以下に11秒ものマージンを稼いでいた。あとはタイヤが新しいステイアウト組の猛追を防ぐのみとなる。
コース復帰後、大湯に先行された牧野だが、タイヤの性能差は歴然で、25周目に大湯を攻略し2位に浮上。これでダンディライアンのワンツー体制が構築された。
驚異的なペースで追い上げる牧野は、11秒あった太田との差を縮めていき、残り4周の時点で太田の背後にまで接近。最終盤にして同じチームによる激しい優勝争いが繰り広げられた。
残り3周では両者OTSを使いながら一進一退の攻防を見せる。OTSを丸々1周使い勝負に出た牧野だったが、太田が執念のブロックでトップを死守。両者OTSがほぼ無くなったこと、そしてオーバーテイクが難しいレイアウトということもあり、太田が見事な走りで優勝するかに思われた。
しかし、残り2周のダウンヒルストレートからの90度コーナーにかけてドラマが待っていた。トップのまま90度コーナーのブレーキング、ファイナルラップに入ろうとしていた太田がまさかのスピン。
最終盤にきてまさかのスピンを喫しリタイアしてしまった太田。無線ではスロットルトラブルが発生したようだ。無情にも最後の最後でトラブルに見舞われてしまった太田は無念のリタイアに終わってしまった。
スピンした太田をよけ、トップに立った牧野は順位を守り切りトップチェッカー。今季2勝目を挙げた。
今シーズン悲願の初優勝を挙げた際は感情を爆発させた牧野だったが、この2勝目には笑顔がなかった。残り3周でオーバーテイクできなかったこと、そして太田のトラブルによる優勝とあって複雑な優勝。しかし、この優勝でランキング2位に浮上し、タイトル獲得も見えてきた。
2位にはポールポジションからスタートした山下、3位にはランキング首位の野尻が入った。以下、4位は山本、5位坪井、6位大湯、7位には予選から立て直した岩佐が入っている。
2024年 スーパーフォーミュラ 第5戦 決勝結果(トップ10)
1 牧野任祐 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 37周
2 山下健太 KONDO RACING +1.603
3 野尻智紀 TEAM MUGEN +4.261
4 山本尚貴 PONOS NAKAJIMA RACING +4.992
5 坪井翔 VANTELIN TEAM TOM’S +12.728
6 大湯都史樹 VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING +18.322
7 岩佐歩夢 TEAM MUGEN +20.062
8 小高一斗 KONDO RACING +23.838
9 福住仁嶺 Kids com Team KCMG +24.622
10 佐藤蓮 PONOS NAKAJIMA RACING +27.471