X1は意外にハンドリングコンシャス。「ちょっと懐かしい」BMWテイスト
まず先にX1で走り出すと、低速でゴツゴツとする乗り味に懐かしい気分になった。BMWのサスペンションはスポーティで引き締まったフィーリングであるのは常だが、最近では快適性との両立が上手になっている。X1はちょっと前のBMWを思い起こされるのだ。
そのかわりに、コーナーへ向けてハンドルを切り込んだ瞬間から素早くノーズがインに入り込んでいく俊敏さは大したもので、さすがはMパフォーマンスだと嬉しくなる。乗り心地は硬めだけれどハンドリング至上主義的なところが、いかにも往年のBMWらしい。こういった味わいが好きなファンも少なくないだろう。
それに比べるとMINIカントリーマンは穏やかだ。もちろんJCWだから、それなりに引き締まったサスペンションとはなっているものの、ほとんどの場面でゴツゴツ感はない。路面の凹凸が連続する場面で、わずかに硬さを感じることはあるものの概ね快適なのだ。
ワインディングロードでは程よいロールを伴いながら軽快にコーナーを駆け抜けていく。MINIはゴーカートハンドリングが持ち味だが、それはあまり感じられない。むしろしなやかなサスペンションで濃厚な接地感がある、良くできたFWD系SUVといったところなのだ。
両車の印象をまとめると、X1のほうがゴーカートハンドリングに近く、生粋のスポーツカーファンが歓ぶSUVに仕上がっている。MINIカントリーマンはJCWでもファミリーカーとしての満足度が高い。ハードウエアの多くを共有する2台だが、走りのテイストはけっこう違うのだ。
じつは、MINIカントリーマンとほぼ同時期にデビューしたX2は全体的に快適性が高く、中でもX2 M35i xDriveはJCWとずいぶんと近いフィーリングだ。X1もsDrive 18iやxDrive 20dなどは適度に快適。それを考えるとX1 M35i xDriveが際だってスポーティでユニークなモデルとも言える。
整理するとMINIカントリーマンとX2の乗り味はかなり近いのだが、X1はX2の弟分だからか、はたまたデビューが早かったせいか、少しだけ快適性で譲る。これが全体的な話で、スポーツグレードではMINIカントリーマンJCWとX2 M35i xDriveは適度に引き締まっていながら快適だという乗り味がやはり近いのだが、X1 M35i xDriveだけは硬派でゴツゴツ感がある。今後のマイナーチェンジなどで変わっていく可能性はあるが、現状はそうなっているのだ。(文:石井昌道、写真:平野 陽)
MINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン ALL4 主要諸元
●全長×全幅×全高:4445×1845×1645mm
●ホイールベース:2690mm
●車両重量:1680kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1998cc
●最高出力:233kW(317ps)/5750rpm
●最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2000-4500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料/タンク容量:プレミアム/54L
●車両価格(税込):667万円
BMW X1 M35i xドライブ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4500×1845×1625mm
●ホイールベース:2690mm
●車両重量:1680kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1998cc
●最高出力:233kW(317ps)/5750rpm
●最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2000-4500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料/タンク容量:プレミアム/54L
●車両価格(税込):786万円