2010年10月、ランボルギーニ・ジャパンは後輪駆動のガヤルド「LP550-2」を発表し販売を開始。それにあわせて、その後輪駆動ならではの軽快な走りを堪能できるサーキット試乗会を積極的に開催した。日本では千葉・袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われたが、その後、F1グランプリ開催で知られる上海インターナショナルサーキットでもトラックテストを開催している。今回はその上海でのテストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年2月号より)

バレンティーノ・バルボーニで反響を呼んだ後輪駆動の俊敏な走り

今回、上海で開催されたガヤルドLP550-2のサーキット試乗会は、マレーシア・セパン、中国・北京、中国・成都、日本・袖ヶ浦に続く、アジア・トラックテストツアーの第5弾となるもの。この日は、香港、台湾、マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、日本、韓国などのメディアを対象に行われた。アジア地域におけるガヤルドLP550-2への関心度は非常に高いが、その魅力をもっと知ってもらおうと企画されているものだ。

ガヤルドはもともとミッドシップレイアウトの4WDとして開発されたモデルだが、前輪へのトルク配分は通常時10%、最大でも30%ほどで基本的には後輪駆動を前提としている。5.2L V10エンジンによる500ps/500Nm以上という動力性能を安全確実に路面に伝えるために前輪にも駆動を配分していると考えていい。

これにより、パワフルでかつ安定した走りを実現しているのだが、たやすく豪快なパワーを味わえる反面、操る楽しさに欠けるところも確かにある。元来ランボルギーニはハンドリング性能で高く評価されてきたスーパーカーメーカーでもある。そこで新たに後輪駆動の「ガヤルドLP550-2バレンティーノ・バルボーニ」を世界限定250台で発表したところ、その俊敏な走りが予想以上の反響を呼んだのだった。

後輪駆動の需要は潜在的にあったというわけだ。こうしてガヤルドLP550-2が通常のモデルとして加えられることになったのだ。もちろん、後輪駆動化にあたっては、ダンパーやスプリング、タイヤ性能などを含めた足まわりのセッティングはもちろんのこと、エンジンや空力(主にフロントアクスル周辺)に至るまで入念なチューニングが行われているのは言うまでもない。後輪駆動の魅力を存分に楽しむために、ESPなどの電子デバイスにも手が加えられている。

しかし、その性能をいきなりフルに楽しんでもらうには少し危険な面もある。そこでまずはサーキットでハイパワー後輪駆動ならではの鮮やかなハンドリング性能を安全に体験してもらおうということになった。ちなみに、メディア試乗会の翌日にはファン対象の試乗イベントも行われている。

画像: LP560-4との外観上の違いは、ホイールデザインとエンブレムくらい。フロントタイヤの直前に加えられた小さなフィンは、最新バージョンのLP560-4にも装着されている。

LP560-4との外観上の違いは、ホイールデザインとエンブレムくらい。フロントタイヤの直前に加えられた小さなフィンは、最新バージョンのLP560-4にも装着されている。

想像していたよりずっとコントロールしやすかった

試乗会当日の上海は朝からあいにくの雨模様となり、サーキットはハーフウエット状態。まずはレーシングドライバーが運転する助手席に同乗しコースレイアウトを確認する。じわりとタイヤに荷重をかけながらトラクションを伝えていくと、サスペンションがしっかりとパワーを受けとめてくれるのがわかる。

その後、いよいよテストドライブ。レーシングドライバーの先導でコースを5周。ブレーキングポイント、コース取り、滑りやすい部分を確認しながら、こちらのペースに合わせて徐々にペースを上げてくれる。当初は上限4000〜5000rpmほどと言われていたが、いつのまにか7000rpmほどまで回すことを許してくれていた。

さすがにサスペンションは硬いが、がつんと突っ張る感じではなく、短いストロークながらショックをしっかりと受けとめて路面を捉える。グリップの限界が近くなると少しずつ滑り出し、それに従ってハンドルに伝わる重さが小さくなり、さらに滑るとESPがパワーを絞る。急激なアクセル操作やハンドル操作を行わなければ、滑り出しはわかりやすく意外とコントロールしやすい。とくに今回はハーフウエットだったので、その滑り出しがかえって掴みやすかった。

気をつけなけらばならないのは、むしろ急激なアクセルオフ。滑り出しから突然グリップが戻ると動きがピーキーになりがちなので、アクセルオフもじわりが基本。パワーを少しずつ絞りながら滑り出しを抑える操作が必要となってくる。

誰もが自在に扱えるというわけではないが、手に負えないということもない。アクセルワークを覚えれば、後輪駆動ならではの楽しさがわかるはずだ。今回はスポーツモードに入れることは許されなかったが、これはもう少しガヤルドLP550-2のパフォーマンスを身体で覚えてからでもいいだろう。550psのパワーを限界まで引き出して手足のように振り回すことができれば、どれほど面白いことか。その極限はもっともっと先にあるということだ。

今後も、アジア・トラックテストツアーは韓国や香港をはじめとした各国を巡るという。こうしてランボルギーニの熱狂的なファンは増えていくのだろう。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘)

画像: インテリアは通常のガヤルドと同じ。今回の試乗会では電子制御ギアボックスのe-gear仕様が使われたが、6速MT仕様もラインナップされている。

インテリアは通常のガヤルドと同じ。今回の試乗会では電子制御ギアボックスのe-gear仕様が使われたが、6速MT仕様もラインナップされている。

ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 主要諸元

●全長×全幅×全高:4345×1900×1165mm 
●ホイールベース:2560mm 
●車両重量:1380kg  
●エンジン:V10DOHC
●排気量:5204cc 
●最高出力:405kW(550ps)/8000rpm
●最大トルク:540Nm/6500rpm 
●トランスミッション:6速AMT
●駆動方式:MR
●最高速:320km/h
●0→100km/h加速:3.9秒
●車両価格:2408万1750円(2011年当時)
左ハンドルのみ。6速MTの車両価格は2303万1750円。

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