10種類の素材のみで作られた、セオリー1
現在のクルマは平均100種類の素材で製造されているが、ロータスではより持続可能な未来と循環型経済への具体的なアクションとして「チャレンジ of 10」というアプローチの基、可能な限り少ない素材でのクルマ製造をゼロからスタートした。
セオリー1は、性能、耐久性、軽量性、リサイクル性、リサイクル可能性を備えた10種類の素材のみで設計されている。これには、セルロースベースのグラスファイバー、リサイクルチョップド カーボンファイバー、チタン、リサイクル グレージング、リサイクル ポリエステル、リサイクル ゴム、エラストマー ポリウレタン、透明ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、リサイクル アルミニウムが含まれる。
京セラによる、安全かつパワフルで先進的なライティングシステムを実現し、コンポーネントのサイズと重量を大幅に削減した。これには、直径1mm以下の次世代レーザーワイヤーDRL(デイタイム ランニングランプ)機能と、7×35mmのレンズを通して照射されるメインおよびディップビーム機能が含まれる。
セオリー1は、ロータスのエンジニアリングの専門知識を発展させ、卓越したパフォーマンスを発揮する電気自動車だ。冷却、アクティブ リアスポイラー、パッシブ リアアンダーボディを含む、高度なアクティブおよびパッシブ エアロダイナミクス技術などにより、低重心化とともに安定性を高め、そして車両の軽量化を実現している。
ノーズコーンにはディフューザーと空気抵抗を低減するエアディフレクターが装備され、エアカーテンが後流を最小限に抑える。これはロータスF1の伝統にインスパイアされたものだ。アンダーフロアは、空気抵抗の少ないNACAダクトを通して空気を冷却システムに導き、吹き出し口はセパレーションを抑えるとともに、より強力な力を得ることができる。そして車両のサイドポッドは乱流を気流から隔離し、後方へと流れるよう綿密に設計されている。
ユニークなドア開閉システム。乗車定員は3名!
1960年代後半の革命的なF1マシン、ロータス49からヒントを得て、モーターとバッテリー アッセンブリーを使用してサスペンションから直接力を受けるように設計されている。これはサブフレームを必要としないため、重量の軽減にも役立っている。リアウイングはモーターとサスペンションアッセンブリーに直接取り付けられ、ダウンフォースはサスペンションマウントからタイヤまでダイレクトに作用する。
ドアは後ろに下がりながら前を支点に上方へ開く、リバースオープンとラップオーバーによるシステムにより、幅2.4mの狭い駐車場にセオリー1を駐めてもドライバーは楽に乗り降りできるという実用性を高めている。
しかも、セオリー1は3人乗りだ。ドライバーは中央に座り、ドライバーの左右斜め後ろにパッセンジャーが二人座ることができるF1マシンにインスパイアされた車体中央のドライバーズシートは、ドライバーに前方を見渡す最高の視界を提供し、すべてのコントロールに簡単にアクセスできる。シートはクルマと一体化しており、ドライビングポジションはステアリングホイールやペダルを調整する。ステア by ワイヤも採用し、あらゆるコーナーで正確なコントロールを可能にしている。
タイヤは、ハイパフォーマンスEV用に開発されたピレリ Pゼロ エレクトラを装着。転がり抵抗が少ないのでエネルギー消費量が少なく、バッテリーの航続距離を最大10%伸長できる。しかもEVの高トルクに対応するため、特にグリップ力を強化して設計された。なお、ロータスはPゼロ エレクトを最初に採用したメーカーでもある。
ブレーキにはAPレーシングの高性能システムを搭載。ロータスとAPレーシングは1967年のロータス49から関係を築いており、セオリー1では超軽量の高性能カーボンセラミック ブレーキシステムを採用している。
セオリー1は、ロータスのグローバル パフォーマンス テクノロジー ブランドへの変革を再確認するものだという。このクルマそのものが市販化される可能性は高くないが、搭載されているイノベーションは、今後数年のうちに新たなロータス車に搭載される予定だ。
ロータス セオリー1 主要諸元(目標値)
●全長×全幅×全高:4490×2000×1140mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1600kg以下
●モーター:交流同期電動機×2
●システム最高出力:1000ps
●バッテリー総電力量:70kWh
●0→100km/h加速:2.5秒以下
●最高速度:320km/h
●WLTP総合航続距離:402km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前265/35R20、後325/30R21