モーターマガジン社より「スーパーカークロニクル・完全版」が好評発売中だが、その中から主だった車種をダイジェストで紹介しよう。第4回は1990年から1999年までのいわゆる「第3期スーパーカー」の中から、ランボルギーニ ディアブロ、フェラーリ512TR、ポルシェ911GT1、マクラーレンF1をピックアップしてお届けする。

第三基スーパーカーは、純粋に速さを追求し、それを実現した

ランボルギーニ ディアブロ(1990~2001)「クライスラー傘下で洗練され、のちに4WDも設定」

画像: ●主要諸元 ランボルギーニ ディアブロ:全長✕全幅✕全高=4460✕2040✕1105mm、ホイールベース=2650mm、車両重量=1650kg、エンジン種類=60度V12DOHC,総排気量=5703cc、最高出力=492ps/7000rpm、最大トルク=59.1kgm/5200rpm

●主要諸元 ランボルギーニ ディアブロ:全長✕全幅✕全高=4460✕2040✕1105mm、ホイールベース=2650mm、車両重量=1650kg、エンジン種類=60度V12DOHC,総排気量=5703cc、最高出力=492ps/7000rpm、最大トルク=59.1kgm/5200rpm

ミウラ、カウンタックとスーパーカーを代表するモデルを世に送り出したランボルギーニ。ただ1974年のオイルショック以降は経営難が続いていた。ディアブロが開発された当時はクライスラー傘下にあったためパワートレーンのレイアウトなどは基本機構はカウンタックを継承するものの、デザインに関してはクライスラーの意向が反映された。

クライスラーのデザイナーによってカウンタックからエッジが削ぎ落とされ、空力的には洗練されている。カウンタックが持つ荒々しさとは一線を画すのはそのためだ。その一方でボディの軽量化に力を注ぎ、フェンダーとドアにアルミを使用するほか、バンパーやフロント&エンジンフードはランボルギーニが開発した複合素材のアウトクラーベを使用している。

デビュー当時に搭載されたエンジンは5.7LのV12 DOHC48バルブ。最高出力は492ps、最高速度は325km/h、0→1000m加速が20.7秒と公称したが、これは多分にフェラーリ テスタロッサの公称スペック390psと290km/hを意識した数字だと言われる。

この後、ロードスターやSVなど、ディアブロはバリエーションを増やしていく。ランボルギーニにとって最も幸運だったのは、クライスラーの資本をバックに4WDを開発できたことだろう。1993年に登場したVTから始まる4WDラインアップは、現代までランボルギーニの代名詞となっていく。

フェラーリ512TR(1991~1994)「進化したV12をミッドに搭載するフェラーリの最高峰」

画像: ●主要諸元 フェラーリ 512TR:全長✕全幅✕全高=4480✕1975✕1135mm、ホイールベース=2550mm、車両重量=1650kg、エンジン種類=180度V12DOHC,総排気量=4943cc、最高出力=428ps/6750rpm、最大トルク=50.0kgm/5500rpm

●主要諸元 フェラーリ 512TR:全長✕全幅✕全高=4480✕1975✕1135mm、ホイールベース=2550mm、車両重量=1650kg、エンジン種類=180度V12DOHC,総排気量=4943cc、最高出力=428ps/6750rpm、最大トルク=50.0kgm/5500rpm

テスタロッサの後継モデルとして登場した「512TR」。その車名は、フェラーリの流儀で5Lの12気筒エンジンを搭載していることを表し、TRはテスタロッサの略だ。そのため旧テスタロッサのマイナーチェンジ版などと言われているが、実は似て非なるモデルだ。

シャシこそテスタロッサ用を小改良したものを流用しているものの、ミッドに搭載された5Lの180度12気筒DOHCエンジンは重心高を下げるためにドライサンプ化し、エンジンとトランスミッションのアッセンブリーをテスタロッサよりも30mm低い位置に搭載する。

吸気系はプレナムチャンバーを再設計した新形状の吸入ポートを採用し、バルブの大径化などで吸排気効率を改善している。燃料供給装置も、ボッシュのモトロニックM2.7に進化。さらに新設計のピストンの採用などで圧縮比を10.0に上げ、カムプロフィールも変更したことで38psのパワーアップを実現した。

外観では、旧テスタロッサと比較すると、フロントグリルが丸みを帯びたデザインとなり、グリルとウインカーなどが一体となっていたのが分割されたのが大きな違いとなる。リアコンビランプやアルミホイールなども変更されている。

頂点を目指すために生まれた「もっとスーパー」な奴ら

ポルシェ911 GT1(1996~1998)「ル・マン制覇を目指して生まれたスーパーGTマシン」

画像: ●主要諸元 ポルシェ911Gt1:全長✕全幅✕全高=4710✕1950✕1170mm、ホイールベース=2500mm、車両重量=1075kg、エンジン種類=水平対向6 DOHCターボ,総排気量=3164cc、最高出力=544ps/7000rpm、最大トルク=61.2kgm/4250rpm

●主要諸元 ポルシェ911Gt1:全長✕全幅✕全高=4710✕1950✕1170mm、ホイールベース=2500mm、車両重量=1075kg、エンジン種類=水平対向6 DOHCターボ,総排気量=3164cc、最高出力=544ps/7000rpm、最大トルク=61.2kgm/4250rpm

1995年のル・マンはマクラーレンF1(後述)が総合優勝を飾り、他のGTレースでも圧倒的な強さを見せた。王者たるポルシェとしては、この光景を黙って見ているわけにはいかなかった。そこで911をベースに「打倒マクラーレンF1」を目標に生まれたのが911GTだ。

ミッドに搭載されたエンジンは3164ccの水平対向6気筒だが、空冷ではなく水冷となり、シリンダーヘッドは4バルブDOHC化されツインターボを装着。レース仕様の公称最高出力は600ps以上といわれている。

スタイリングは、キャビンや顔つきに911の面影を残しているが、ロングテール化され巨大なウイングが装着されるなどリア周りはレーシングマシンそのもの。GT1は、1997、98年と進化をし、特に1998年仕様は911がベースとは思えないほどのスタイルとなった。

当時、GT1の規定で公道仕様を25台生産する必要があり、911GT1にはストリートバージョンが存在する。レース仕様とスタイリングは共通だが、エンジンは当時のヨーロッパの排出規制をクリアするためにデチューンされていた。最高出力は554ps、最大トルクは600Nmを発生した。

ル・マンでは1996年に総合2-3位を獲得。1997年は2台のリタイアだったが、1998年に1-2フィニッシュを飾っている。

マクラーレンF1(1993~1998)「F1コンストラクターが作ったロードゴーイングカー」

画像: ●主要諸元 マクラーレンF1:全長✕全幅✕全高=4290✕1820✕1140mm、ホイールベース=2720mm、車両重量=1140kg、エンジン種類=60度V12DOHC,総排気量=6064cc、最高出力=627ps/7400rpm、最大トルク=69.3kgm/4000-7000rpm

●主要諸元 マクラーレンF1:全長✕全幅✕全高=4290✕1820✕1140mm、ホイールベース=2720mm、車両重量=1140kg、エンジン種類=60度V12DOHC,総排気量=6064cc、最高出力=627ps/7400rpm、最大トルク=69.3kgm/4000-7000rpm

1992年、マクラーレン カーズ(現マクラーレンオートモーティブ)は、初の高性能市販車「マクラーレン F1」をモナコで発表した。エンジニアリングを手がけたのは、F1グランプリ マシンの設計でも知られるゴードン・マレー。デザインは、ピーター・スティーブンスが手がけた。

F1という名前が示すとおり、そのテクノロジーにはF1グランプリマシンからのフィードバックが生かされている。カーボン(CFRP)製のモノコックに縦置きミッドシップ搭載されるエンジンは、BMW製の6.1LのV型12気筒DOHCで、最高出力は627ps、最大トルクは69.3kgmを発生。当時「世界でもっとも出力の高いクルマ」として、ギネスブックに掲載されて話題となった。

組み合わされるトランスミッションは、エンジンの後方に横向きにセットされた6速MT。最高速度は400km/hに迫っており、タイヤの性能にもよるが、もはやRWDでは限界に近いパフォーマンスを発揮した。

スタイルもパフォーマンスもアグレッシブだったが、けっして奇をてらったものではなく、とくにスタイルはスーパーカーのデザイン手法に則ったものだった。現在のマクラーレン車にも継承される、前ヒンジのディヘドラルドア(バタフライドアとも呼ばれる)を開けると、衝撃的なシート配列が目に入る。

中央に運転席を置き、その両脇に少し後方へオフセットした助手席を左右にセットするという、特殊な3シーターレイアウトを採用するのだ。その採用理由は、1名乗車時の左右重量配分を適正化でき、しかもホイールハウスが邪魔しないので最適なペダル配置ができるメリットがあると説明されている。

マクラーレン F1はモータースポーツでも活躍し、1995年のル・マン24時間レースでは総合優勝を果たしている。上位5台のうち4台がF1だった。

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