2023年10月25日(現地時間)、F1第20戦メキシコGPがメキシコシティ郊外のアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキットで開幕する。グランプリは休む間もなく、アメリカ・テキサス州オースティンからメキシコシティに移動。南北アメリカ大陸3連戦の2戦めは、通常のレースフォーマットで行われる。はたして今年はどんなレースになるのだろうか。

グランプリごとに微妙に変わる力関係、メキシコではどうなる?

前戦第19戦アメリカGPではマクラーレンのランド・ノリスとレッドブルのマックス・フェルスタッペンの一騎討ちとなると思われたが、ふたりの争いの間隙を縫ってフェラーリのシャルル・ルクレールが快勝。2位にもカルロス・サインツが入り、フェラーリが1-2フィニッシュを達成した。

なお、ノリスとフェルスタッペンは最後まで表彰台を賭けた戦いを繰り広げ、フェルスタッペンが3位の座を獲得した。

第18戦シンガポールGPではノリスがフェルスタッペンを寄せ付けず圧勝して「最速」を印象づけたが、前戦ではフェルスタッペンがやや盛り返す結果となった。

F1グランプリは一戦ごとサーキットの性格が大きく変わることもあって、始まってみないとわからない部分も多いが、今週末のメキシコGPでもやはり注目はノリスとフェルスタッペンの戦いとなるだろう。

ランキングを見てみると、コンストラクターズ選手権ではマクラーレンがレッドブルとの差を40点に広げる一方で、フェラーリがレッドブルに8点差と急接近。レッドブルは2位の座も怪しくなってきた。ドライバーズ選手権では首位のフェルスタッペンがノリスとのポイント差を57点に広げることに成功。残り5戦、フェルスタッペンは優勝できなくても、上位フィニッシュを続けることができれば有利な状況のまま最終盤を迎えられそうだ。

メキシコGP といえば、やはり注目はセルジオ・ペレス(レッドブル)。このところ元気のないペレスが熱狂的な地元ファンの声援を受けて復活できるのか。いまやレッドブルのシートも危うい状態となっているだけに、このメキシコGPを機に再び上昇気流に乗りたいところだろう。ちなみに昨年はリタイアに終わっている。

もうひとつの注目は、角田裕毅とリアム・ローソンのチームメイトバトル。前戦第19戦アメリカGPではローソンがF1復帰初戦でいきなり9位入賞を果たした一方で、角田は14位と低迷。その第2ラウンドがどうなるか、興味深い。

画像: 母国グランプリで注目されるセルジオ・ペレス(レッドブル)。このところ元気のないペレスが熱狂的な地元ファンの声援を受けて復活できるか。

母国グランプリで注目されるセルジオ・ペレス(レッドブル)。このところ元気のないペレスが熱狂的な地元ファンの声援を受けて復活できるか。

2024年F1コンストラクターズランキング(第19戦終了時)

1位 マクラーレン 544
2位 レッドブル 504
3位 フェラーリ 496
4位 メルセデス 344
5位 アストンマーティン 86
6位 ハース 38
7位 RB 36

2024年F1ドライバーズランキング(第19戦終了時)

1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル) 354
2位 4 L.ノリス(マクラーレン)297
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)275
4位 81 O.ピアストリ(マクラーレン)247
5位 55 C.サインツ(フェラーリ)215
6位 44 L.ハミルトン(メルセデス)177
7位 63 G.ラッセル(メルセデス)167
8位 11 S.ペレス(レッドブル)150
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12位 22 角田裕毅(RB)22

高地に位置するため空気が薄いことが特徴のサーキット

では、メキシコGPが行われるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキット(Aut dromo Hermanos Rodriguez)はどんなコースなのだろうか。

メキシコシティの西に位置するこのサーキットの最大の特徴は、標高約2300mの高地に位置するため空気が薄いこと。空気抵抗の減少によりストレートスピードが上がる一方で、ダウンフォースが減少するためコーナリング時のグリップが低下しブレーキに負担がかかるなど、車両セッティングは通常のサーキットの場合とかなり違ってくる。酸素が少ないためエンジンの燃焼効率が落ち、冷却効率も低下する。また、空気が薄いため、ドライバーにとっても体力的に大きな負担となる。

もともと野球場があった場所を生かして設計し直されたことがうかがえる大きな観客スタンドが有名だが、長い直線2本があるセクター1、中速コーナーが連続するセクター2、低速コーナーが中心となるセクター3で構成されるコースレイアウトは、さまざまな要素が組み合わされたバランスのいい設定とドライバーからも高く評価されている。

空気抵抗が小さいためホームストレートエンドで最高速360km/h以上に達する一方、減速に必要なダウンフォースも少ないためブレーキングが長くなるのも見所。また、ピットレーンが650mと長いためピットでのタイムロスが大きいこともポイントで、チームにとっては1ストップ戦略か2ストップ戦略か悩ましいところだろう。

画像: アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキットのコース図。全長4304mのコースには、長いストレート、中速コーナー、低速コーナーなど、さまざまな要素が盛り込まれている。

アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキットのコース図。全長4304mのコースには、長いストレート、中速コーナー、低速コーナーなど、さまざまな要素が盛り込まれている。

2023年のメキシコGPではフェルスタッペンが2ストップで快勝

昨年2022年のメキシコGPでは、予選で3位となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、スタートで抜群のダッシュを見せてフロントロウのフェラーリ2台をかわして首位を奪うと、後続を大きくリード。レッドブルが2ストップ戦略をとったのに対して、フェラーリとメルセデスは1ストップで対抗したが、フェルスタッペンの2回目のタイヤ交換の前にセーフティカーが出動したことで作戦は不発。結局最後は大差をつけてフェルスタッペンがトップチェッカーを受けた。

フェルスタッペンはこの勝利でシーズン16勝目となり、シーズン最多勝利記録を更新することになった。

画像: 昨年のメキシコGPのタイヤ戦略。ほぼすべてのドライバーがミディアムタイヤでスタート、フェラーリとメルセデスは1ストップ戦略でフェルスタッペン攻略を試みたが、セーフティカーと赤旗でうまく機能しなかった。

昨年のメキシコGPのタイヤ戦略。ほぼすべてのドライバーがミディアムタイヤでスタート、フェラーリとメルセデスは1ストップ戦略でフェルスタッペン攻略を試みたが、セーフティカーと赤旗でうまく機能しなかった。

【参考】2023年F1第20戦メキシコGP決勝 結果

1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT) 71周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+13.875s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +23.124s
4位 55 C.サインツ(フェラーリ) +27.154s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス) +33.266s
6位 63 G.ラッセル(メルセデス) +41.020s
7位 3 D.リカルド(アルファタウリ・ホンダRBPT)+41.570s
8位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+43.104s
9位 23 A.アルボン(ウイリアムズ・メルセデス) +48.573s
10位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+62.879s
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12位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダRBPT)+78.982s
リタイア 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダRBPT)
ファステストラップ 44 L.ハミルトン(メルセデス)

タイヤを供給するピレリは、メキシコGP開幕にあたって「このサーキットは空気が希薄なためダウンフォースが減少します。また路面は比較的平滑で、グリップも平均よりも小さく、タイヤへの負荷はそれほど大きくありません。今年も昨年と同様、最も柔らかい3つのコンパウンド、C3、C4、C5 を供給します。昨年は2ストップが勝利戦略となりましたが、今年は1ストップも有効な戦略となりそうで、興味深いレースとなりそうです。なお2回目のフリープラクティスは90分に延長され、2025年を見据えたテストとして実行され、来年のラインナップの中で最も柔らかいコンパウンドのテストに完全に割り当てられます」とコメントしている。

さて2024年のメキシコGPはどんなレースとなるのか。メキシコGPは、10月25日金曜日12時30分(日本時間26日土曜日3時)からのフリー走行1回目で開幕、予選は10月26日15時(日本時間27日 日曜日6時)、決勝は10月27日14時(日本時間28日月曜日早朝5時)に開始される。

2024年F1第20戦メキシコGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:10月25日12時30分〜13時30分(日本時間10月26日03時30分〜04時30分)
フリー走行2回目:10月25日16時〜17時30分(日本時間10月26日07時〜08時30分)
フリー走行3回目:10月26日11時30分〜12時30分(日本時間10月27日02時30分〜03時30分)
予選:10月26日15時〜16時(日本時間10月27日06時〜07時)
決勝(71周):10月27日14時〜(日本時間10月28日05時〜)

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