全般的なスタビリティ感には、明確な「差」が
かたやCLA45 Sはというと、オプションのAMGパフォーマンスパッケージが装着されていなかった関係でサスペンションのモード切り替えはなく、1種類のセッティングですべての状況をカバーしなければならなかったが、その割には上手く作り込まれていると感じた。
一般道や高速道路ではややソリッドな乗り心地に感じるのはやむを得ないものの、それも十分に許容できる範囲。それでいて、ハードコーナリングでも不安定な姿勢に陥ることなく、RS4に迫るペースでワインディングロードを駆け抜けていけるのだから大したモノだ。
ただし、細かく観察していくと、コーナリング中に路面のギャップに乗り上げると、コーナーの外側に向かって斜め上方にボディが上下する傾向が見られたほか、外乱の影響を受けやすいためか、状況によってはコーナリング中に修正舵が必要なこともあった。
つまり、全般的なスタビリティ感についてはRS 4がCLA45 Sを確実に凌いでいたのである。
走るとスペックだけではわからない違いが見える
絶対的な動力性能に関していえば、2台とも不満を覚えなかった。低速域でも十分なトルクを発生してくれるうえ、トップエンドでのパンチ力は2台とも甲乙つけがたいレベルだ。
ただし、エンジンのスムーズさは大きな差があった。CLA45 Sはエンジン始動時からハンドルに微振動が伝わり続けるのに対して、RS4はバイブレーションフリーといっていいほど洗練されている。トップエンドまで回した際のスムーズさや官能性も、RS 4が1枚どころか2枚も3枚も上手。この辺は直4かV6かに加え、エンジンの搭載方法が大きく影響しているはずだ。
つまり、性能的にも室内空間の面でも2台はほぼ互角だが、質感や洗練度合いではRS 4がCLA45 Sを大きく凌いでいたことになる。別の言い方をすれば、それだけCLA45 Sはスポーティな印象が強いとも言える。派手な色合いのインテリアも、そうした雰囲気にマッチしたものだ。
一方、極めて洗練度の高いRS 4はお値段もそれなりで、車両価格はCLA45 Sよりも260万円ほど高い。言い換えれば、2台の洗練度合いと価格の違いは、セグメントの差をそのまま反映したものと言っていいだろう。