初日SS3で痛恨のハーフスピンも、金曜日デイ2にはトップに再浮上
2025年シーズンを前に、トップカテゴリーのラリー1車両はハイブリッドシステムを廃して車重が軽くなり、エンジン面では吸気リストリクター径が縮小されるなどの規定変更があった。さらには昨年までのピレリに代わって韓国のハンコックがタイヤサプライヤーとなったことで、開幕戦モンテカルロは、この新しいマシンパッケージにいかに早く対応するかが勝負の鍵になると思われた。
ラリーのオープニングとして恒例となった木曜日のナイトステージでは、まずこのラリーで過去9回の優勝を誇るオジェが主導権を握るが、SS3で痛恨のハーフスピンを喫し3番手に後退。
代わって首位に立った2024年チャンピオンのティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)も、金曜日、エバンスとの首位争いを展開していた午前中のSS6でコースアウトを喫しサスペンションを破損。大きなタイムロスを喫して優勝争いから脱落してしまう。
オジェはこの日午後のSS8でベストタイムを出して首位に立っていたエバンスからその座を奪うと、そのまま土曜日もリードを広げていった。
オジェが貫禄のモンテ10勝目、エバンスが2位フィニッシュ
土曜日にはエバンスと今季からヒョンデに加入したフルモー、金曜日のタイムロスから挽回してきたオィット・タナック(ヒョンデ)による2位争いがヒートアップ。
中でも注目はi20N初搭乗となるフルモーの奮闘で、ラリー最終日の日曜日ではトヨタ勢とは違うスリック重視のタイヤ選択でSS17ではベストタイムをマーク。エバンスばかりか、首位オジェとの差も一気に詰めてトヨタを慌てさせた。
しかし、チュリニ峠超えの最終SS18は日陰区間に相応の雪が残るコンディション。トヨタ勢とフルモーは同じタイヤ選択となり、オジェとエバンスが1-2タイムをマークして、総合順位もパワーステージと同じ結果となった。
金曜日以降は危なげない走りで史上最多のモンテカルロ10勝目を達成したオジェは「危ない場面もあったラリーだったけど、空の上からは幸運の星が見守っていてくれた。僕のキャリアのスタートに関わってくれて、1年前に天に召された叔父だ。この勝利は彼に捧げたい」と、フィニッシュ後は感傷的なコメントを残した。
デイ3で総合5位に順位を下げたカッレ・ロバンペラ(トヨタ)は、日曜日に好タイムを連発して総合4位を獲得。ラリー終盤に向けてペースを上げて、ポジティブな形でシーズンフル参戦復帰の初戦を締めくくった。
次戦となる第2戦ラリー・スウェーデンは、2月13~16日、スウェーデン北部のウメアを起点に行われる。雪と氷に覆われた森林地帯の未舗装路が舞台で、ステージはすべて積雪路となる。ラリーカーは金属製のスタッド(スパイク)が埋め込まれた雪道専用の「スタッドタイヤ」を装着して走行。かたく締まった雪道や凍結路にスタッドがしっかりと食い込むことで高いグリップが得られるため、平均速度は例年非常に高く、WRCの全イベントの中で3本の指に入る超高速ラリーとなる。
2025年 WRC開幕戦ラリー・モンテカルロ 結果
1位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)3h19m06.1s
2位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+18.5s
3位:A.フルモー(ヒョンデ i20N ラリー1)+26.0s
4位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+54.3s
5位:O.タナック(ヒョンデ i20N ラリー1)+59.0s
6位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1 )+5m44.2s
7位:J.マカリアン((フォード プーマ ラリー1)+10m15.1s
8位:Y.ロッセル (シトロエン C3 ラリー2) +10m26.8s
9位:N.グライジン(シトロエン C3 ラリー2) +11m40.7s
10位:E.カミリ(ヒョンデ i20 N ラリー2)+13m14.6s
リタイア:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)
2025年 WRCドライバーズランキング(開幕戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ)30
2位 E.エバンス(トヨタ)26
3位 A.フルモー(ヒョンデ)20
4位 K.ロバンペラ(トヨタ)18
5位 O.タナック(ヒョンデ)11
6位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)9
2025年 WRCマニュファクチャラーズランキング(開幕戦終了時)
1位 トヨタ 60
2位 ヒョンデ 36
3位 Mスポーツ・フォード 11