実車を通して感じたジムニー ノマドの魅力
ジムニー ノマドは3ドアのジムニー シエラをベースに、全長およびホイールベースを340mm延長していますが、その恩恵のほとんどをリアシートの居住性とラゲッジルーム容量の拡大に充てているのが特徴です。
エクステリアはジムニー シエラの雰囲気を完璧に残したまま、ごく自然にドアが2枚追加されているという印象。つまり車体の延長によって不安視されるデザインの胴長感はなく、ジムニー シエラの黄金比的なデザインを巧く継いでいます。一方で、フロントグリルはノマド専用で、ガンメタリック塗装とメッキ品で覆われた5スロットグリルはジムニーの武骨なイメージから一転、フラッグシップとして高級感を演出したいという意志が感じられました。
インテリアの造形もまた、ジムニーシリーズと共通です。ナビゲーションシステムは2DINサイズを用意する必要がある点も共通しています。ここは可能であれば、新型スイフトやフロンクスなどで採用された「全方位モニター付メモリーナビゲーション・スズキコネクト対応通信機」の搭載を期待したいところでしたが、それは叶いませんでした。
そしてジムニー ノマドのフロントシートに座り、意外な発見がありました。それは、ドア化でフロントドアの長さが短くなると同時に、前席のシートベルト位置が前方寄りになり装着しやすくなったという、5ドア化ならではのベネフィットです。特に既存のジムニーシリーズのユーザーからすると、地味に羨ましいポイントかもしれません。
さて、待望の「リアドア」を開けて乗り込むと、開口下部の長さが300mm確保されており、乗降時の足の運びは良好です。シートに座ると掛け心地が良いうえ、ヒップポイントが高く設計されたことで前方視界が広く圧迫感は少ない印象。肝心のニースペースは、ジムニーベースの後席だと考えると望外に広く、実用十分のスペースを確保していました。
ラゲッジルームはシエラ比で350mm荷室長が伸びています。これはシエラに備わる防汚タイプのラゲッジフロアが取り除かれたことでラゲッジルーム自体の面積が拡大しているうえ、ホイールベースの延長が奏功しているようですが、そのおかげで一般的なコンパクトSUVと遜色のないスペースを確保していました。何より、4名乗車時で荷物が十分積み込めるのは5ドアならではの魅力にほかなりません。