フィギュアやプラモデルなどの企画・制作を行っているマックスファクトリー社。そのラインナップに耕うん機や除雪機などHondaのパワープロダクツを1/20スケールで忠実に再現した人気プラモデル「みのり with Honda」シリーズがある。そのシリーズの最新版が船外機で登場した。ここでは企画を担当するマックスファクトリー社の高久氏に、開発の裏側を聞いた。(MotorMagazine 2025年4月号より)

この中にV8エンジンが収まっているのが信じられない

- 350を初めて見た印象は。

高久「実際に製品を見て意匠やボディのシェイプが洗練されていると感じました。この中にV8エンジンが収まっているのが信じられないほどです。驚きました」

画像: 実機のBF350のカバーを外すと見えるV8エンジン。船側に装着されている青い斜めのパーツがオイルフィルターだ。

実機のBF350のカバーを外すと見えるV8エンジン。船側に装着されている青い斜めのパーツがオイルフィルターだ。

画像: 船側からメンテナンスするときにオイルが海に落ちないように工夫されたオイルフィルターまで忠実に再現されている。

船側からメンテナンスするときにオイルが海に落ちないように工夫されたオイルフィルターまで忠実に再現されている。

- 船がないのはどうしてですか。

高久「フィギュアと機械が絡むのが、このシリーズの必須条件です。季節は夏で、開放的なみのりちゃんにするのは考えていましたが、船外機という機械の性質を知ってもらい、そして横に人がいることを考えると必然的に陸に上げざるを得ないのです。プラモデルの世界では、エンジンを組み立てるのはとてもポピュラーな方法です。クルマの模型でもエンジンが入っていてそれを組むのは珍しいことではありません。パーツ数も、クルマのV8エンジンを組む模型と同じようなボリューム感です」

- 制作時間はかかりましたか。

高久「だいぶ早かったですね。これまでとはまったく違いました。Hondaの船外機は伝統的に透視図があり、メカニズムがよくわかるのです。耕うん機のときは資料がなくてとても苦労しましたから(笑)。船外機はエンジンそのものですし、250と350の内部構造の共通点や違いなど、実際に量産の組み立てが始まってからは、実機に触れたり、現場を取材できたので内部の構造までとてもスムーズに理解できました。製品では、樹脂カバーが外せることにはとてもこだわったところで、金型も時間をかけて調整しています」

- 細部まで造り込んでいますね。

高久「Hondaのエンジンへのこだわりや特徴を出したかったのです。細かい話ですが、350ではオイルフィルターが斜めに出ています。これはオイルフィルターを交換するときに海へとこぼれないよう環境へ配慮した工夫なのですが、これは絶対に再現しないとダメだと考えました。さらにマリーナで船外機を載せる台座まで忠実に再現しています」

- 開発陣も驚く精密さで完成度も高いと聞きました。次の展開は。

高久「予測できない製品で『えっ、そっちに行くんだ』と驚いてもらいたいと思っています。違うシチュエーションを作るのがこのシリーズです。次に何をやるかわからない方が面白くありませんか? パワープロダクツの多様性を活かし、形の違うもの、機能の違うもの、それで『エンジンがあってその横にみのりちゃんがいる』という景色が作れたらと思ってます」
(聞き手:千葉知充 写真:井上雅行)

画像: BF350はホワイトとシルバーの2色が揃うがプラモデルはシルバーをメインビジュアルイメージとして製品化したという。

BF350はホワイトとシルバーの2色が揃うがプラモデルはシルバーをメインビジュアルイメージとして製品化したという。

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