雨で垣間見えたアクティブトレッド「水スイッチ」の効果
撮影日が雨に祟られると気分がブルーになるのだが、目的地には向かわなければならない。それでもオールシーズンタイヤと4WDの組み合わせは天候を選ばずに安全なドライブができる。ここがスタッドレスタイヤとの大きな違いで、コーナーで不安定になったり制動距離が大きく伸びることなく、サマータイヤと同じ感覚で運転できる。
シンクロウェザーはさらにアクティブトレッドの「水スイッチ」により雨に特化した走行性能を発揮する。以前装着していたオールシーズンタイヤもウェットで安定性して走行できたのだが、シンクロウェザーに履き替えると、さらにブレーキの効きがグッと良くなっているのが体感できる。
排水性の高い、V字に近いトレッドパターンもさることながら、排水しているだけではなくまるでトレッドのブロックが路面に吸い付くような、そんな印象を受ける。これはもうレインタイヤと言って良いのでは、というくらい、ウェット性能についてはサマータイヤ以上に安心して走行できるのだ。

排水しつつグリップする、非常に安心感のあるウェット路面でのフィーリング。
足を伸ばし鈴鹿サーキットへ
8月の台風により延期となっていた、スーパーGT選手権第5戦が、12月上旬に鈴鹿サーキットで開催となり取材に向かった。車で移動するのだが、秋から冬へ季節が変わる時期だけに降雪のリスクもゼロではない。けれども、シンクロウェザーを履いているので安心して出発できる。高速道路を中心に、往復約900kmの走行だ。
長距離移動では燃費性能が検証できる。以前履いていたオールシーズンタイヤが、それまでの新車時装着のタイヤに比べて燃費が約5%低下していた。この位の差であれば全天候のメリットと比べれば些細な事。そして今回のシンクロウェザーも同じような数値を出していた。総じて乗り味はエコタイヤに近いのだが、燃費はそれよりも若干落ちるようだ。
レースウィークは運よく天候に恵まれ、アクティブトレッドの本領発揮とはならなかったが、道中は非常に快適なドライブであった。ところでレース用タイヤは発熱することで本来の性能を発揮し、冷えると極端にグリップ力が落ちる。まるでシンクロウェザーとは異なる性格、いやむしろシンクロウェザーの方が特殊なのだが、実に興味深い。

スーパーGT500クラスで唯一ダンロップタイヤを装着する、64号車モデューロ ナカジマレーシングのシビック・タイプR-GT。
10月から12月までの3か月弱走って、この間の走行距離は3500km程。もちろんタイヤに摩耗の痕跡は全く見られず、一皮むけたかな、くらいの状態。雨は適度に遭遇したが、残念ながら雪は降らず積もらずで、シンクロウェザーの真価を確認するには雪のある場所へ行くしかない。ということでそれは後編で。(PHOTO&TEXT:井上雅行)