これでもか!と展開されるアクションシーンの連続

Ⓒ2025 PARAMOUNT PICTURES.
本編では、30年前のあのシーンが、思いがけない場面で繋がって登場したり、これまでのシリーズ名場面なども挟み込まれ、まさに“最後”の「ミッション:インポッシブル」になるのか!?という盛り上がりが否応なく高まっていく。
ストーリー自体は前作から大きく展開することはないが、アクションシーンが「これでもか!」と連打される。カーアクションこそ少ないが、全力ダッシュのシーン、白眉となる複葉プロペラ機での上空2400mの空中アクションや、海中での危険なシーンなど、観客の心拍数が上がり続けてしまうような息苦しくなるほどのものばかり。これらのアクションシーンも2025年で62歳になるトム・クルーズが身体を張って見せてくれるのだから、もう拍手喝采しかない。
本作プロモーションのために世界中を飛び回ったトム・クルーズは、もちろん日本にも来日したし、カンヌ映画祭でのプレミア上映も大成功をおさめた。世界中で愛され、また彼のファンへの神対応もよく知られるところ。そんな彼は今回のタイトルに「ファイナル・レコニング」と冠されてはいるが、この先も「ミッション:インポッシブル」シリーズを続けるのではないだろうか。だが“ファイナル”とは、この“2部作が終わり”ということに思える。
そもそも前作品のサブタイトル「デッドレコニング」とは推測航法という意味で、過去の位置と移動距離から現在地を推定するというもの。それはAI(エンティティ)の位置を探すためのものというよりも、俳優トム・クルーズの現在位置を探すためのものだったのではないだろうか。そして、今回の最新作で彼の立ち位置は現された。映画ファンが求めるもの、楽しめるもののためにトムは映画に出演し、作り続ける。その決意を改めて表明した。本作品はそういう映画だと思う。
そして世界がAIに代表されるようなネット全盛の時代でも「最後は人間自身の力が必要だ」とメッセージしているかのような、トム・クルーズの覚悟と決意。そんなものも感じさせてくれる1本。つまり、まだまだ「ミッション:インポッシブル」シリーズは終わらない!?(文:映画評論家 永田よしのり)

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「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」
●監督:クリストファー・マッカリー
●出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、イーサイ・モラリス、ほか
●配給:東和ピクチャーズ
●上映時間:169分
●2025年5月23日より全国公開
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