現実味を帯びてきた水素燃料でのル・マン挑戦
今回、世界初公開された「GR LH2レーシングコンセプト」は、2023年に公開された「GR H2レーシングコンセプト」の進化形で、液体水素を燃料とすることからモデル名に「LH2」の文字が加えられており、水素燃料の技術開発が新たな段階に入ったことを示している。

ル・マン24時間レースが開催されているフランスのサルト・サーキットで世界初公開されたプロトタイプ車両「GR LH2レーシングコンセプト」。
このレーシングコンセプトカーは、現在WEC世界耐久選手権で戦っている「GR010 ハイブリッド」をベースに開発された実戦的な車両で、今後実走テストを通して水素技術やインフラの継続的な開発を担うとともに、モータースポーツへの挑戦を通じた水素の可能性を広げるための仲間づくりを行っていくとしている。
WECでは、液体水素を燃料として利用して走行する車両や、水素と酸素の化学反応によって生み出した電気で走る燃料電池車(FCV)の将来的な参戦を視野に入れており、ル・マンの舞台でのTOYOTA GAZOO Racingの発表はWECへの働きかけという側面もあるだろう。
なお、「GR LH2 Racing Concept」のブルーのカラーリングは「未来」を象徴したもので、小林可夢偉/コンウェイ/デ・フリースがドライブする赤と白の7号車「GR010 ハイブリッド」、ブエミ/ハートレー/平川亮がドライブするマットブラックの8号車「GR010 ハイブリッド」とともに、トヨタのル・マン参戦40周年のコンセプトである「過去」「現在」「未来」を結びつける3つ目の重要な要素となっている。

プロトタイプ車両「GR LH2レーシングコンセプト」。カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として水素技術を磨くトヨタ。次の目標は、水素でル・マン制覇、か。
■トヨタ GR LH2 レーシング・コンセプト 車両概要
全長:5100mm
全幅:2050mm
パワートレーン:水素エンジン+ハイブリッドシステム
搭載燃料:液体水素