ベルギーGPでもマクラーレンがライバルたちを圧倒する走りを見せるか
前戦第12戦イギリスGPは、霧雨、小雨、曇り空、晴れ間、大雨、そして気温の上昇と、典型的な“ブリティッシュ・ウェザー”に翻弄されるレースとなる中、レース後半、トップを走行していたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のセーフティカー明け直前のペースコントロールが、危険行為と見なされて10秒ペナルティが課されるアクシデントが発生。
それでもピアストリは2位を確保し、チームメイトのランド・ノリス(マクラーレン)と順位が入れ替わったものの、マクラーレンが圧倒的な速さで2戦連続今季5度目の1-2フィニッシュを達成した。
第10戦カナダGPで今季初めて表彰台を逃したマクラーレンだったが、その後、すぐに2連勝。ベルギーGPでもライバルたちを寄せ付けない走りを見せるのか、注目される。
ベルギーGPでのもうひとつの注目チームは、レッドブル。コンストラクターズランキング4位に後退したイギリスGPのレース後、電撃的にチーム代表のクリスチャン・ホーナーが解任され、新しい代表にローラン・メキースが就任。これによってレッドブルは巻き返すことができるのか、レッドブルはどう変わるのか、角田裕毅は不調から脱することができるのか、レッドブルの浮沈はチャンピオン争いの行方を大きく左右するだけに目が離せない。

前戦イギリスGPでは、ペナルティを受けたピアストリが2位に後退したものの、ノリスの優勝でマクラーレンが1-2フィニッシュを飾ることになった。
【参考】2025年F1第12戦イギリスGP決勝 結果
1位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)52周
2位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+6.812s
3位 27 N.ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)+34.742s
4位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)+39. 812s
5位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT)+56.781s
6位 10 P.ガスリー(アルピーヌ・ルノー)+59.857s
7位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+60.603s
8位 23 A.アルボン(ウイリアムズ・メルセデス)+64.135s
9位 14 F.アロンソ (アストンマーティン・メルセデス)+65.858s
10位 63 G.ラッセル(メルセデス) +70.674s
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15位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダRBPT)+1L
ファステストラップ 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
【参考】2025年F1ドライバーズランキング(第12戦終了時)
1位 81 O.ピアストリ(マクラーレン)234
2位 4 L.ノリス(マクラーレン)226
3位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)165
4位 63 G.ラッセル(メルセデス)147
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)119
6位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)103
7位 12 K.アントネリ(メルセデス)63
8位 23 A.アルボン(ウイリアムズ)46
9位 27 N.ヒュルケンベルグ(キックザウバー)37
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17位 22 角田裕毅(レッドブル)10
【参考】2025年F1コンストラクターズランキング(第12戦終了時)
1位 マクラーレン 460
2位 フェラーリ 222
3位 メルセデス 210
4位 レッドブル 172
5位 ウイリアムズ 59
6位 キックザウバー 41
7位 レーシングブルズ 36
スパでは理想的な妥協点を見つけることが重要になる
ベルギーGPの舞台となるのは、スパ-フランコルシャン・サーキット(Circuit de Spa-Francorchamps)。ベルギー・アルデンヌの森の中に作られたアップダウンの激しいハイスピードコースで、変わりやすい天候でも知られる。
コースは3つのセクションで構成され、F1ファンなら誰もが知る「オー・ルージュ」から「ラディオン」へと続く超高速の第1セクション、テクニカルでツイスティな中速コーナーが連続する第2セクション、加速力と空力のバランスが求められる第3セクションと、各セクションは三者三様の特性を持つ。
このためすべてのセクションで競争力のあるセッティングを見つけるのは困難な作業で、理想的な妥協点を見つけることが重要になる。実際、第1セクションと第3セクションで非常に速いマシンが、低速の第2セクションで苦戦したり、その逆になったりすることは珍しくない。多くのチームがどこかのセクションに特化し、他の部分で妥協を迫られる。
「スパウエザー」と呼ばれる山岳コース特有の変わりやすい天候もやっかいで、コースコンディションは時間によって変わるだけでなく、コース上のさまざまなポイントでグリップレベルが劇的に変化することもある。さらに、コース全長が7.004kmと長いため、ドライタイヤからウェットタイヤに、またはその逆に切り替える適切なタイミングを判断する際にわずかなミスがあると、大きなタイムロスを招くことになる。

スパ・フランコルシャンサーキットは、ドイツとの国境に近いアルデンヌの森の中に位置する、アップダウンの激しい山岳コース。ドライバーからの人気も高い。

スパ・フランコルシャンサーキットのコース図。鋭角的な1コーナー「ラ・ソース」、右に緩くカーブしながら高低差80mを一気に駆け上がる「オールージュ」、そのあとに続く「ケメルストレート」「レ・コンブ」、急激な下り坂の先にやってくる連続する左コーナー「プーオン」、最も標高が低い「スタブロ」など、有名なコーナーが散りばめられる。