ブリヂストンの新作「BLIZZAK WZ-1(ブリザック ダブルゼットワン)」は、スタッドレスとしては初めて独自のタイヤ設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)を採用。基本性能をキープしながら、求められる性能「エッジ」を伸ばしている。目指したのは冬用タイヤとしての氷雪性能に加えて、夏用タイヤもびっくりのドライ/ウェット性能。夏真っ盛りの横浜を舞台に、そのグレードアップぶりを確かめることができた。

新たな春を迎えるころ、元の夏タイヤにはもう戻れないかも

では肝心のスタッドレスとしての「本領」はいかがなものか。絶対的に求められる氷雪性能の進化については、試乗基地となったアイススケートリンクでチェックすることができた。

画像: スケートリンクを活用した特設コース。ごく限られた条件ではあったが、スタッドレスとしての基本性能の高さも、しっかり確認することができた。

スケートリンクを活用した特設コース。ごく限られた条件ではあったが、スタッドレスとしての基本性能の高さも、しっかり確認することができた。

画像: ブリヂストンが公表しているデータによれば、アイス路面でのブレーキ性能は従来型VRX3比で約11%短縮、氷上旋回でのラップタイムも約4%短縮されているという。

ブリヂストンが公表しているデータによれば、アイス路面でのブレーキ性能は従来型VRX3比で約11%短縮、氷上旋回でのラップタイムも約4%短縮されているという。

特設コースでは20km/h上限での加速とフルブレーキングと、小径の定常円旋回でのグリップコントロールを、従来型VRXⅢと新型WZ-1で比較することができた。試乗車は、ドライと同様のヤリスハイブリッドだ。

誤解を恐れずに言えば、直線での加減速に関しては従来型のVRXⅢでもまったく不満を覚えることはない。いわゆるプロのテスターのように繊細なアクセル&ブレーキコントロールができるわけではないけれど、アベレージよりはやや手慣れたスキルで乗り比べたところでは「大きな差」を感じることができなかった。

あえて指摘するなら、ABSの性能をフルに発揮できるドライバーならば、トラクション制御の緻密さにわずかな違いを感じとることができるかもしれないけれど。

一方、定常円旋回で驚いたのは、アクセルペダルの踏み加減に対する反応がよりわかりやすく、扱いやすくなっていることだった。ハンドルの切れ角は一定のままで、センター部に配置されたパイロンを目標にインベタで走る時にも、右足の加減だけでかなりスムーズに円旋回を続けることができた。

旋回時の速度はメーター読みで約10km/hほど。新旧の差はわずかに1~1.5km/hほどのものだったと思う。それでもWZ-1では、オーバー気味に膨らみ始めるところからトラクションが回復していく感覚が、従来型よりも早めでしかもスムーズだ。この時、心持ち踏み足してやるとちゃんとグリップしながらハンドルを切った方向に向かっていくのが気持ちよくて、ついつい何周も回り続けてしまった。

こちらも体感上はわずかな差だけれど、アイスバーン状態の交差点などでの安心感が少しでも向上するのはあらゆるドライバーにとって恩恵は大きい。ましてや非降雪地域に住んでいて雪道や凍結路面の運転に慣れていない場合は、「保険」の意味でも一歩進んだ安心を選ぶ価値は大いにある。雪に悩まされる機会が少ないエリアに住むドライバーにとっては、ドライ路面での基本性能の高さとともに大きなメリットとなるだろう。

さまざまなシチューションでマルチな才能の片鱗を感じさせてくれたブリザックWZ-1だが、試乗を終えて少し不安になることがあった。

それは普段履いているサマータイヤがややくたびれてしまっていたり、コスパ重視のベーシックグレードをある程度、妥協して使っているような時。数カ月のウインターシーズンを、WZ-1とともにスノーもドライも思い切り快適に過ごした後ではもしかすると、サマータイヤの方もそうおうにグレードアップしないと「我慢できない」身体になってしまっているかもしれない。

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