2025年9月11日〜14日(現地時間)、第11戦ラリー・チリ・ビオビオがチリ中南部コンセプシオンを起点としたグラベル(未舗装路)で開催され、トヨタのセバスチャン・オジェが優勝。2位にはトヨタのエルフィン・エバンス、3位にはヒョンデのアドリアン・フルモーが入った。昨年このラリーを欠場し、他のドライバーに比べて経験量に差があった勝田貴元(トヨタ)は、そのハンデを乗り越えて7位に入った。

序盤ヒョンデがリードも、土曜日になるとトヨタ勢が攻勢

前戦パラグアイを制し、これまで一度も勝てなかった南米ラウンドで初勝利を挙げたオジェが、チリも制して南米ラウンド2連勝を飾った。

ラリー序盤は好調とは言えなかった。ウェットコンディションとなった金曜日午前、GRヤリス・ラリー1のセッティングがまったく合わなかったオジェは4番手と出遅れる。まず主導権を奪ったのはトヨタのカッレ・ロバンペラ。しかしSS3で痛恨のパンクを喫し、雨模様で先頭スタートのハンデが消えたエバンスが代わって首位に立つ。

午後になって天候が回復して路面が乾くとエバンスのペースはガクッと落ち、今度はヒョンデのオィット・タナックが首位浮上。チームメイトのフルモーが続き、ヒョンデの1-2体制となる。だが、今度は金曜日最後のSS6でタナックのi20Nラリー1にエンジントラブルが発生。痛恨のデイリタイアとなった。これでフルモーが首位に。2番手には1秒差でティエリー・ヌーヴィルが浮上し、ヒョンデの1-2体制は変わらない。しかし、午後からペースを上げてきたオジェがフルモーから2.3秒差の3番手に浮上してきた。

翌土曜日もウェットコンディションとなった。1-2体制のフルモーとヌーヴィルはペースが上がらず、次第にトヨタ勢に飲み込まれていく。午前中の3つのステージを終え、エバンスが首位に復帰、出だしのSS7でタイムロスを喫していたオジェも5.6秒差の2番手に浮上する。

画像: チリ中南部の森林地帯の高速グラベルステージを舞台に繰り広げられたラリー・チリ・ビオビオ。有力視されていたトヨタのカッレ・ロバンペラはパンクで後退。

チリ中南部の森林地帯の高速グラベルステージを舞台に繰り広げられたラリー・チリ・ビオビオ。有力視されていたトヨタのカッレ・ロバンペラはパンクで後退。

エバンスとの一騎討ちを制して、オジェがランキング首位に浮上

ここからラリーはエバンスとオジェの一騎討ちに。そして、SS10、SS11で連続ベストを出したオジェがついに首位に浮上した。オジェは続くSS12でも3連続となるベストタイム。その差を6.3秒に広げることに成功した。

迎えた最終日、朝の最初のループはSS13でオジェ、SS14でエバンスがベストタイムを分け合う展開。しかし、SS13の再走となるSS15で、オジェはエバンスに4.4秒差をつけるベストタイム。総合での差を10.3秒に広げて優勝争いに決着をつけた。

オジェは最終ステージでもベストタイムを叩き出し、日曜日単独での首位も確定。自身200戦目のラリーをパーフェクトウィンで締め括った。35点のフルポイント獲得で、オジエはドライバーズ選手権で首位(224点)に浮上。エバンスが2点差の2番手、6位に終わったロバンペラは203点と一歩後退した。

一方、マニュファクチャラーズ選手権では、シトロエンを抜いて歴代最多勝(103勝)を記録したトヨタが、ヒョンデとの点差を125点にまで広げ、5年連続王座へ大きく前進している。

画像: 自身200戦目のラリーをパーフェクトウィンで締め括ったトヨタのセバスチャン・オジェ(右)。今季5勝目、通算66勝目。(左はコドライバーのヴァンサン・ランデ)。

自身200戦目のラリーをパーフェクトウィンで締め括ったトヨタのセバスチャン・オジェ(右)。今季5勝目、通算66勝目。(左はコドライバーのヴァンサン・ランデ)。

次戦WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーは、10月16日から19日、ドイツ、チェコ、オーストリアの3カ国を舞台とするターマック(舗装路)で開催される。2023年に初めてWRCとして開催されたセントラル・ヨーロピアン・ラリーは、サービスパークはドイツ南東部のバイエルン州のパッサウに置かれ、毎日、国境を越えるラリールートが設定されている。地域によってステージの特徴は大きく異なり、10月は天気も変わりやすいため、ドライバーには高い適応力が求められる。(文:新村いつき)

 

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