ノリスが独走勝利、ポイントリーダーを奪回
スタートラインからターン1までが長いエルマノス・ロドリゲス・サーキットで、いきなりノリスとルクレール、ルイス・ハミルトンのフェラーリ勢、そしてフェルスタッペンが4台並んで先を争うという緊迫のシーンで幕を開けた。
レースは、イン側をしっかりキープしたポールシッターのノリスが首位を奪い、そこからは危なげなく後続との差を広げていった。2番手となったルクレールとの差は23周目には早くも10秒強。ハイペースで飛ばしながらもタイヤマネージメントも十分で、ノリスは結果的に唯一のタイヤ交換となった35周目のピットインでも首位のまま復帰する。
そして、そこからが圧巻だった。ミディアムタイヤでの第2スティントでは同じタイヤ戦略のルクレールとの差をさらに広げ、最終的には30秒以上の大差をつけて今季6勝目のチェッカーに飛び込んだ。
「スタートは良かったと思う。何事もない真っ直ぐな、素晴らしいレースだったね」とレース後には涼し気な笑顔を見せたノリスは、これでついにポイントリーダーの座を奪還した。

1コーナーまでの距離が長いためオープニングラップの1コーナーは大混乱。ノリスとルクレール、ハミルトン、フェルスタッペンの4台が並んでコーナーに進入、イン側をしっかりキープしたポールシッターのノリスが首位を奪う。ピアストリはスタートで出遅れ、ハミルトンは10秒ペナルティを受けた。
粘るライバルふたりに、土壇場でVSCの不運
ドライバー選手権をノリスと争うふたりにとっては悔しいフィナーレとなった。
5番グリッドのフェルスタッペンはスタートで他とは違うミディアムタイヤを選択。これが予想外にグリップが悪く第1スティントは苦労したものの、ソフトタイヤでの第2スティントではペースアップ。
ノリスとルクレール以外の上位陣が2ストップとなったため労せずして3番手まで浮上し、そのまま2位を狙ってルクレールに迫る。一方、まさかの7番グリッドからのスタートとなったピアストリも中盤までなかなかオーバーテイクができずに苦しんでいたが、終盤にペースを上げてこちらも4番手で健闘するオリバー・ベアマンを追い詰めた。
だが、ふたりがいよいよDRS圏内に入ろうとした残り2周の段階で、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)がコース上にストップ。これによりVSC(バーチャルセーフティカー)が宣告され、追い上げはそこまで。それぞれ3位と5位でのフィニッシュとなった。
この結果、ドライバーズ選手権は、ノリスから1点差にピアストリ、36点差にフェルスタッペンというさらに緊迫した状況で、残り4戦を迎えることになった。
10番手グリッドから角田裕毅(レッドブル)は、フェルスタッペンと同じミディアムタイヤでスタートしたが、序盤はポイント圏内を走行していたものの、唯一のタイヤ交換でのピットミスでタイムロスしたことが響いて11位に終わった。

完璧なラップでポールポジションを獲得したノリスは、決勝でも快勝。ハンガリー以来の今季6勝目、通算10勝目をあげた。

メキシコGPのタイヤ戦略。多様な戦略が生まれたが、ソフト→ミディアムの1ストップが勝利戦略となった。
次戦F1第21戦サンパウロGPは、11月7日、ブラジル、サンパウロ近郊インテルラゴスのアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェで開幕、決勝レースは11月9日に開催される。(文:新村いつき)

